正字正かな(いはゆる旧字旧かな)で簡単な文書を作りたい方に朗報です。
一太郎2012承プレミアム、またはスーパープレミアムを一本買ふと、「正字正かなでの文書作成環境が一通り揃ふ」といふ、全くもつて便利な時代になりました。
※プレミアム/スーパープレミアムでない無印版には、後述する「ヒラギノフォント」は附属してゐないのでご注意ください。
ATOKの「文語モード」で歴史的仮名遣ひの入力
附属の日本語入力システム「ATOK」は、「文語モード」が付いてゐます。文語モードといふ名前だからといつても、文語体だけにしか対応してゐないといふ訳ではなく、口語文の歴史的仮名遣も普通に入力出来ます。
なほ、変換候補には、いはゆる「旧字体」も含まれてゐますので、正字正かな・新字正かなのどちらにも対応可能です。
ヒラギノフォントで康煕字典体での印刷
「MS 明朝」「MS ゴシック」等の一般の日本語フォントは、残念ながら、常用漢字表の略字体に対応する康煕字典体(早い話が、戦前の書籍に使はれてゐたやうな旧字体)があまり含まれてゐません。
従来は、このやうな文字を印刷するには、通常版で定価90,000円台もするAdobe InDesign(附属の小塚明朝・ゴシックが康煕字典体にほぼ対応)を買ふか、定価45,000円もするヒラギノ基本6書体パック(これも康煕字典体にほぼ対応)を買つて、「異体字切替」に対応したソフトである、一太郎/InDesign/TeXで使ふしかありませんでした(Mac OS Xであればシステムフォントとしてヒラギノが入つてゐるので、あとはフリーのTeXをインストールすればよいのですが、Macが高いわけで)。
ところが、本日発売された、一太郎2012承プレミアム(通常版で定価24,885円)またはスーパープレミアム(通常版で定価32,865円)に、本来定価45,000円するヒラギノ基本6書体パックとほぼ同等のフォントが付いてきて、しかも文語モード対応のATOKと異体字切替対応のワープロソフトが付いてきてしまふのですから、一つ買ふと環境がみんな整ふ上に、以前よりだいぶお財布に優しくなりました。
(大日本スクリーン製造の発売するオリジナル製品版との相違は、明朝W3/W6・角ゴW3/W6にStdフォントおよびJIS90フォントが無く、Stdフォントより収録字形数が多いProフォントのJIS2004対応版のみ、といふ点です。でも「大は小を兼ねる」ので大抵は問題ない筈。)
正字正かなで文藝同人誌を作つてみませんか
とつくの昔に一太郎からWordに宗旨替へして仕舞つた方も、この際、「お手頃な価格で揃へられる、正字正かなでの文書作成環境」として、一太郎2012承プレミアム/スーパープレミアムを見直してみるのは如何でせうか。
たとへば、短歌や随筆や小説を載せた文藝同人誌を作つて知り合ひの間で回覧したり、同人誌即売会で頒布してみるのも良いでせう。ご興味のある方は是非挑戦してみてください。
なほ、先日発行した同人誌「正かなづかひ 理論と實踐」には、「正かなづかひで入力する手引 ATOK 篇」、および一太郎の異体字切替機能を使用して康煕字典体を出す方法の簡単な解説「正字正かな文書作成のヒント」の二つの記事が載つてゐます。後者の記事はPDFサンプルに全文掲載されてゐますので、ご参考に。