「いじめに『ノー』と言えなかった被害者」に“責任”はあるか

 そんな責任とやらがあるのなら、北朝鮮政府の暴政だって、金正日に『ノー』と言えない北朝鮮人民にも責任があるという事になるぞ。アメリカの黒人が差別されているのは、彼らの先祖が白人の暴力に『ノー』と言えなかった責任もあるという事になるぞ。
 そんな屁理屈が許されてたまるかってんだ。


 いじめ被害者がいじめに抵抗しようが、無抵抗のまま屈服しようが、学校内のいじめは一種の児童虐待である事に変わりはありません。
 いじめ加害者はしばしば被害者を洗脳*1し続け、自分に罪があると思わせたり、虐待に抵抗する能力を奪ったりする事があります。これを決して忘れてはなりません。つまり、「脅されていやいや従う」よりもひどい事に、「自分が悪いので、従うのが当然」であるかのように洗脳されてしまっている事があるのです。
 カルト宗教やマルチ商法に洗脳された人を元に戻すのがどんなに困難な事か、皆さんも少しはご存じでしょう。*2いじめについても同じで、時には、周囲がいくら本人に目を覚まして欲しいと思っていても、がんじがらめに洗脳されていて、ニッチもサッチもいかない事があります。そんな状況で、いじめに抵抗する“義務”を果たさなかった“罪”とやらをうんぬんするなんて、どうかしています。


 大体、いじめ加害者が誰かをいじめた“理由”とやらを本気で受け取るなんて、なかなかのお人好しです。いじめなんて、権力欲とかサディズム的快楽を得るといった利己的な理由が第一であって、「相手が悪い」「生意気だ」「むかつく」「臭い」「デブ」「ネクラ」「オタク」だからいじめた、なんてのは、まるで「少女が可愛かったから誘拐した」という紋切り型の言い訳と同じく、単なる自分の変態的な快楽を正当化するための言い訳に過ぎない上に、そのレッテルが虚偽である事もしばしばあります。真に受けることのないようにしましょう。


 あなたなら、いじめ加害者に洗脳されない自信がありますか。毎日洗脳され、加害者の虐待に抵抗する気力を奪われてもなお、加害者の虐待に抵抗する事ができますか。

*1:小・中学生や高校生の本人は洗脳のつもりはないかもしれませんが、立派な洗脳です。

*2:私はこの種の組織の洗脳の手口について知ってはいますが、手口を知っていたとしても、実際に他人の洗脳を解くのは非常に困難な事です。私にはとても手に負えません。この種の洗脳のプロに比べると、学校のいじめの洗脳は所詮アマチュアなので、比較的早く解ける方ですが、洗脳が解けたところで、すぐ元に戻るわけではなく、トラウマも長くひきずる事になったりと大変なものです。