ドラマ版ちびまる子ちゃん―子役の名演技とノスタルジー

 前々から情報は聞いていたが、なかなか良かった。キャスティングも絶妙で、本当にハマり役ばかりだ。
 私は放送直前まで、まるちゃん役はホットマンの七海たんの中の人(山内菜々)だとばかり思い込んでいたが、別人だったみたいだ。森迫永依という名前で、まるちゃんと同じくリアル小学3年生らしい。
 TARAKOが声を演じるアニメ版とはまた違って、作り物っぽい子供らしさを感じさせない、リアルな子供らしさを表現している。原作漫画やアニメ版を見て「あったあった、私にも昔こんな事が!」と思った人は多いだろうが、ドラマ版は実写であるだけに、より鮮明にリアリティを持って、我々の子供時代の思い出を呼び覚ましてくれる。
 そして、とにかく芸が細かい。「自分が子供だったころ、こんな事を言ったり、こんな仕草してたりしただろう」事をちゃんとやっていて、思わず笑ってしまう。森迫永依演じるまるちゃんは、一見ちっちゃな毒舌家のようでいて、実は結構茶目っ気たっぷりな所が、何とも微笑ましいものである。クレラップのCMに出てくるクルリちゃんを連想したのは私だけだろうか。
 しかし、ドタバタ喜劇の一方で涙を誘うシリアスなストーリーもあったりして、その演技も真に迫るものがある。最近の子役は本当に演技が上手になったものだと改めて思った。
 時代背景についても、私の見た限りでは比較的忠実に再現できていた方ではないかと思う。部屋のセットは70年代によく見かけた家具や電化製品、服装も昔はああいうニットのカーディガンをよく見かけたもので、懐かしい。
 もっとも、たとえばクラスメートがあまりにも漫画っぽくて不自然な感じが残ったとか、細かいアラを探そうと思えばあるにはあるが、しかし全体的には演技がうまくてなかなか楽しめる作品であった。首都圏以外ではこれからの放送の地域もあるだろうが、是非楽しみに御覧いただきたい(ストーリーの細かい感想はネタバレになるのでまた後日)。