ウイスキーとリキュール

 私は甘党だから、取り立てて酒が好きというわけでもない。しかし風邪をひいたとなると話は別である。こんな時ばかりは、普段ジュースやコーラしか入れないウイスキーのグラスが本来の用途に用いられる出番である。

 普段はほとんど飲まないナポレオンをワンフィンガー、水で割って飲む。そして早く寝る。翌日にはすっかり風邪が治っているという寸法だ。私にとっては面白いほどよく効く薬だ。

 甘党には甘党向けの酒もある。私は二十歳になったばかりの頃、杏露酒(シンルチュウ)を時々飲んでいた。色々なカクテルもうまいので、サントリーカクテルバーのシリーズを時々買って飲んでいた(でも、さすがに本職のバーテンダーのカクテルにはかなわない)。カルーアミルク(コーヒーリキュールを牛乳で割ったもの)は私のお気に入り。スキー場で覚えたコアントローショコラ(コアントローというリキュールのホットココア割り)、家で作って飲むだけのためにコアントローを一瓶買ってしまった。しかしまあ、買ったりもらったりでいろんな種類のウイスキーやらリキュールやらの瓶がたまっていくが、どれも少しずつ減るばかりで、結局ほとんど使い切っていない(きっとどの家もそうなのかもしれないが)。

 さて今日の私のおすすめの酒は、「電氣ブラン」。明治時代に浅草で生まれたハイカラなリキュールである。かなり強い酒なので、好みに応じて水やソーダなどで割ると良いが、とにかく「謎めいた味」、この一言に尽きる。私も今日初めて飲んで惚れ込んでしまった味だ。値段も手頃なので、酒屋で見かけたら(または浅草の神谷バーに行く事があったら)是非お試しあれ。