3Dプリンタで銃を作る事をおすすめしない理由

 「3Dプリンタで銃を製作」といったニュースを聞くと、「一般人でも3Dプリンタなるものがあれば簡単に銃を作成出来て、人殺しが蔓延するのでは」と心配する人も居るかも知れません。
 確かに、3Dプリンタの登場により、銃の密造のハードルが少し下がったのは事実かも知れません。しかし、それが本当に実用的な銃かどうかとなると、疑問を感じざるを得ません。

弾丸は難しいし、火薬だけはどうしても作れない

 皆さん御存知の通り、銃を使用するには、銃そのものだけでなく、弾丸と火薬が必要です。しかし、プラスチックを噴出する一般的な3Dプリンタでは、実用的な金属製の弾丸は作れません。まあ、プラスチック製の弾丸なら作れるかも知れませんが、性能は劣ります。えっ、「鉛を溶かして作る」……? それって火縄銃のですか?
 そして、火薬だけは、どう足掻いても作る事が出来ません。これこそが最大のハードルです。えっ、「それは別途原料を仕入れて自分で作る」……? 爆発事故で死んだり腕が無くなったりする前にやめといた方が良いですし、仮に出来たところで、確実に点火出来るかどうか。

自分の命の方が危ない

 一般的な3Dプリンタで製作出来る物は、所詮プラスチックです。その中を火薬が燃焼して高温高圧のガスが発生するとなると、簡単に劣化するのは目に見えてます。
 そして精度の問題もあります。業務用ならともかく、個人向けの3Dプリンタの精度はそれほど良くありません。モデルガンですら、各部品が精密に設計され、少しメンテナンスを怠るだけでうまく動かなくなったりするのですから、実銃となると尚更精度が求められます。しかし、それだけの精度が満たせずに、隙間だらけだったり、出来た部品に弱い部分があったりすると、故障して弾丸が撃てなくなるだけならともかく、最悪、暴発事故を起こしかねません。「護身用」どころか、自分の命が危なくなります。「拳銃を作るつもりが、延期時間0秒の手榴弾だった」なんて事になったら洒落では済みません。


 法律的な問題は勿論の事、素人が生半可な技術で銃を作ったところで、碌な事はありません。仮に出来た所で、所詮、貧乏なゲリラ向けの間に合せの武器で、確実に動くかどうかも、安全かどうかも、誰も保証しません。
 日本でも猟銃やスポーツとしての射撃等、ハードルは高いながらも銃を持つ事は決して不可能ではないのですから、もし何らかの正当な理由で銃を使用するにしても、信頼出来るメーカーの、精密で安全に作られた銃を手に入れた方が良いに決まってます。現時点では、3Dプリンタで作られた銃はどうしても「割に合った」ものには見えません。