一晩限りの中学生! #たんきゅんの夏期講習 に行ってきたよ

 八月三日(土)に「渋谷アップリンク」で開催された「たんきゅんの夏期講習」に参加してきました。
 「たんきゅん」とは、女子中学生の制服で歌って踊る二人組なのですが、今回はたんきゅんと一緒に「生徒」役として、先生方の授業を受けたり課題をこなしたりしてきました。
 前列の生徒席(三十三名)の後ろは授業参観席で、課題はこなさず見てるだけの席でした。

一時間目:大谷能生「中学三年生の社会科と音楽」

 リアル学校の先生による、クラシック音楽平均律に関する講義でした。大学と同じ九十分授業と思ってカリキュラムを組んできたら、実は中学で四十分授業だったとの落ち。
 地域や文化によって様々な音階が使用されてきた中、一オクターブを十二に分ける「平均律」の登場で、それらのどの音階も近似値として表現出来る様になり、まるで「デジタル化」の様なものだった、といった内容でした。
 それにしても小テスト(五分間!)はかなりの難問でした。授業では全く説明されなかった内容の穴埋め問題(「次の文章の[ ]内に入るだろう言葉を、授業の内容から想像して記入しなさい)とか記述問題(「第二次世界大戦以降に生まれた西洋クラシック音楽における、上述されたもの以外の作曲技法について、三つ書き出しなさい」)。でも受けを狙った回答(「フランス料理、中国料理、トルコ料理」等)でもおまけ点になるとの事だったので、大喜利になる事は目に見えてましたが……

二時間目:松永天馬「てまきゅん流・歌詞の創作現場」

 ロックバンド「アーバンギャルド」の松永天馬先生による、歌詞の創作入門。「歌詞とはお菓子である」のキャッチフレーズが気に入りました。生きていく上で必須なものではないけど、少ない文字の中に色々なものを詰め込んで人生を楽しいものとするのは、お菓子に似た部分かも知れません。
 歌詞を作る上では、メロディを聴いた上で印象的な言葉を挙げていく事から始まりますが、その際「抽象的な言葉ではなく具体的な言葉を」が大切。AKBのシングル曲も、女の子の気持ちを、女の子の身の回りのものに形容して題名が附けられる事が多いものですが、これもその一つ。
 また、天馬先生は頭韻を多用したり言葉遊びを織り込んだりと、音としての気持ち良さを追求した歌詞が特徴ですが、具体例を挙げながら説明してくださいました。
 今回の課題は「作詞」。事前に宿題として出されたメロディに歌詞を附けるのですが、時間は五分間+休み時間です。これは宿題をやって来なかった人には無理ゲーです。私は宿題はやって来たものの、細かい部分は現場で推敲すれば良いかな、となめて掛かったら、実際には宿題をテスト用紙に書き写すだけで精一杯。でも一番最後のフレーズだけ修正したり、題名だけはさっき習った「頭韻」を使ってみたりと、一部だけ直してみました。

三時間目:滝本淳助久住昌之「タキモトの世界〜夢の授業」

 久住先生の名前は「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」等で聞いてましたが、それ以上に滝本先生のキャラがものすごく強烈でした。とにかくナンセンスな夢の話(イラスト附き)が一杯。クッキングパパのおすもうさん版みたいな「おすもうさんパパ」とか、宝塚スターみたいにメイクの濃い「ベルばら関取」には爆笑。

 滝本先生の夢の中に出てきた、なんちゃって若者語「耳却下」(その言葉を脳に送る前に耳に入った時点で却下、の意)は夢生まれの言葉の癖に秀逸な造語です!
 今回の課題は「あなたが今まで見た中で一番印象に残っている夢を、言葉や絵にしてみよう!」。私は、空を泳ぎながら追っ手(空は泳げない)から逃げ回る夢をイラストにしてみましたが、滝本先生のケッタイな夢に比べれば、あまりにも味気なくて普通も良い方です。

四時間目:本秀康「漫画の描き方、教えてモト先生!」

 漫画は上手い下手よりも、とにかく最後まで描き続ける事が大事。それに、漫画原稿用紙ではなく普通の紙と鉛筆で十分漫画が描けるのだ、と、気楽に漫画を描いてみる事の勧めでした。
 今回は生徒の課題はありませんでしたが、先生とたんきゅんの二人とでリアルタイムにリレー四コマ漫画を描く試みが。これは八月十八日のコミティアの「たんきゅん」ブース(M04b)で同人誌の素材になるとの事なので、今から楽しみです。

お楽しみ会(たんきゅんライブ)

 今回はたんきゅんの出番は少なめですが、待ってました!
 曲目は以下の通り。
1.じこしょ☆
2.ベンジャミンのテーマ(オリジナル曲・未CD化)
3.V・A・C・A・T・I・O・N(夏季限定)
4.サボッタージュ
5.ティーパーティーパーティー

 「ベンジャミンのテーマ」で猫耳と猫しっぽをつけて踊ったり、「V・A・C・A・T・I・O・N」では花の冠を頭に、首にレイを下げて踊ったり。中でも最後の曲で二人がリスの人形を手に取って踊らせながら歌ってたのが特に可愛かったです。

放課後トーク

 最後に、各時間の先生方による小テストの優秀作品の紹介と講評がありました。


 一時間目のテストの平均点は五十点、大半が三角だったとの事。珍回答の数々に爆笑の連続でしたが、真面目な回答だらけの男性陣に比べ、女性陣の方が面白い回答ばかりだったとの事で意外でした。


 二時間目の作詞の課題は、優秀作が五つ紹介されました。(名前や題名が間違ってたらごめんなさい)
くまちゃん(私)「強かれ兵(つはもの)よ」:「進撃の巨人のオープニングみたいで軍歌は意外と合うな、縦書きで高校の国語の中島敦みたいな世界観」
めいさん「(題名失念)」:「(頭韻や言葉遊び等)こっちが言ってる事を全部反芻して書いてるな」
うさやまさん「カラーアゲ・ソング」:「ギャグっぽいタイトルとは裏腹に…」(唐揚げになって食べられる鳥の悲哀を歌った歌)

みやまゆさん(たんきゅん)「子猫は夜に鳴く」:「サビの部分で(猫の鳴き声の)擬音語を使って、後の部分でストーリー、よく出来てるな」
まがたさん「14歳だけに中二ing」:「(掛詞で)秋元先生みたい(なタイトルの付け方)、でも音と言葉の文字数が合ってない?」
 同じ曲にここまで多種多様な歌詞が付いたのが興味深かっただけでなく、色々な工夫が見られて参考になりました。

 その後、たんきゅんとてまきゅん(天馬先生)の歌で、「強かれ兵よ」を実際に歌ってみる事になり、まさか自分の作品が、と大変ビックリしましたが、電子音楽的なロックのメロディと文語詩の一見ミスマッチな組合せが意外にも受けたのが、作詞者として不思議でもあり、嬉しくもあり。たんきゅんも「私立櫻梅女子中学校校歌」で文語の歌詞を歌ってますが、時には文語を見直して見るのも悪くないのかも知れません。文語詩については語ると長くなるので、この作詞に関する裏話は次回書く事にしますが……。
(それから、この私の歌詞は、突貫工事で作成したので一部文法的に誤りのある可能性があり、これを文語文のお手本にするのはおすすめ出来ませんので悪しからず。これから文法チェックも含めて推敲した上で、今年十一月四日に開催される「文学フリマ」で初売予定の文藝同人誌、「正かなづかひ 理論と實踐(じっせん) 第5號」に掲載する予定です)


 三時間目の夢の絵の課題は、とにかく面白い回答だらけでした。
「第一図書館、第二図書館、第三図書館、…全部図書館!」
「あこがれの先輩の脇毛が三つ編みになってる」
「バーベキューのホットプレートを開けると千原ジュニアが出てくる」
「冷蔵庫を開けるとキムタクが出てきて、幸せって何だっけ?と言ってる」
「核ミサイル発射スイッチ(意外とちゃっちい)をズボンの中(ポケットではなく)に入れられる」
「車内にシャワーのあるバス」
「リビングで積み木で遊んでると泥棒が来てピンチなんだけど、両親は台所でニヤニヤ笑いながら見ている」
ジョン・コルトレーンが自分の前を歩いている。NYのものすごい坂道ですたすた歩いていて、(自分は)苦しくてたまらない。横から見ると角度がすごい」


 そして四時間目の本先生も揃ってみんなでフリートーク。授業では滝本先生のオーラにすっかり負けて影が薄かった(失礼)久住先生も、やっとグルメネタが出て本領発揮。
 最後に、生徒からの感想。やはり滝本先生の奇妙な夢の話がかなり好評でした。


 その後、たんきゅんと一緒にスリーショットチェキを撮ったり、天馬先生にサインを頂いたり、隣の部屋のレストランで先生方やたんきゅんと一緒に飲み物を飲みながら雑談したり。ツイッターで可愛いたんきゅんイラストを描いていらっしゃる、あゆみさんの生原稿(何と今では少なくなりつつあるアナログ彩色! 味が出てて好きです)も拝見できただけでなく、その中から一枚(下の写真の真ん中辺り)お土産に頂けたのが嬉しかったです。来る夏のコミティアではたんきゅんやあゆみさんの作品も含めたアンソロジー同人誌が出る予定との事で、今から楽しみです。

おまけ

 ところで、今回の記事、何だか変だと感じる部分があったかも知れません。実は、今回は縦書きにしても大丈夫な様に書いた(後で冗長な部分を整理する等いろいろ手を入れた上で「正かなづかひ 理論と實踐 第5號」*1の原稿に流用する予定)ので、算用数字メインではなく漢数字だらけなのです*2
 以上、正かな同人誌のステマ終り!

*1:http://osito.jp/minkana/

*2:ちなみにこの同人誌、「固有名詞や引用文を除き、全頁歴史的仮名遣」なのですが、この記事も鉤括弧の中を除いてちゃんと歴史的仮名遣になって……ますよね?