セキュリティワイヤー、1,000円のと2,000円のと3,000円のの違い
最近はあちこちの会社で、PCの盗難防止(と個人情報保護)のために、退社前にノートPCを引き出しにしまって鍵をかけたり、セキュリティワイヤーでデスクに縛り付けたりする様子を見かけるようになってきました。
でも、「セキュリティワイヤーって安いのもあれば高いのもあるけど、どこが違うの?」と聞かれることがあります。そう、確かに安いのもあれば高いのもあって、たとえば
ダイヤル式セキュリティワイヤーロック ノートパソコン/ノートPC盗難防止
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iBUFFALO 防犯グッズ セキュリティスロット用 ワイヤーロック ダイヤル錠 BSQ10WDL
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ケンジントン ComboSaverCombination PortableNotebook Lock 64515
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と、こんな具合です(上ではダイヤルロック式を例に取りましたが、鍵を使うタイプのものもいろいろ出ています)。
特許回避と相性問題
このようなセキュリティワイヤーは、大抵のノートPCに付いている、細長い穴(セキュリティースロット)に差し込んで使います。ワイヤーの片方をデスクの支柱などに引っかけ、もう片方に付いている鍵をPCのセキュリティースロットに入れてロックすると、穴の中に金具が引っかかって取れなくなる、という仕組みです。
大抵はこの穴の横に、「Kの字の付いた南京錠のマーク」が描かれているのをご存じの方も多いと思いますが、これは、このセキュリティースロットが、「ケンジントン」という会社の定めた規格通りに作られている、という意味のマークです。*1
それでは、ちゃんと規格が決まっているのだから、セキュリティーワイヤーは安いのを買おうが、高いのを買おうが同じかというと、そうではないようです。
ケンジントンのセキュリティワイヤーは、T字の金具をセキュリティースロットに入れた後、90度回転させてからストッパーで止める、という構造。さすがにオリジナルだけあって、ロックの構造がシンプルである上に頑丈ですし、相性問題もあまりありません。
ところが、他社のセキュリティワイヤーは、ケンジントン特許を回避するためなのか、セキュリティスロットに差し込む金具の形状がオリジナルとだいぶ違っています。T字の金具を90度回転させる代わりに、金具の爪の先が広がってセキュリティスロットに引っかかるタイプが多いですが、各社まちまちの方法を採用しています。
※写真左はNOVAC NV-SLK001。可動式の爪が引っかかるタイプ。金具を90度回転させる必要がなくてスピーディーなのが長所。規格通りのスロットであれば大抵問題ありませんが、セキュリティースロットの穴の短辺の幅が極端に狭いPCでは、ダイヤルを回してロックできない可能性があります。(2012/09/06訂正。いろいろなPCで試してみましたが、今のところ、大抵の機器で正常に使用できていますので、相性問題は極端に心配する事はないかと思います。)
※写真右はNOVAC NV-SLK003。ケンジントンのものに少し似たT字金具で、差し込んでから90度回転させてロックさせるのは同じですが、T字金具側が引っ込んだり戻ったりするケンジントンと違い、これはリリースレバーを押すと、T字金具脇のストッパーが引っ込んでロック解除できる、というところが違います。ダイヤルはクリック感があって快適に回せます。この構造の制限としては、PCによっては、PCとロックの間に隙間が開いてグラグラする可能性があります(これには付いていませんでしたが、類似の商品の中には、隙間を埋めるためのパッドが付属している事があります)。
上に挙げたものは、私が使った上で特に不便を感じたことはありませんが、残念ながら安物の中には、ロックの構造に欠陥があったり、工作精度が甘くて使い物にならないものがあったりします。
特に[これはひどい]というものを一つ紹介しておきます。上の写真は、最初に挙げた1,000円台のものと同じセキュリティワイヤーの拡大写真です。この爪は構造上の問題、および工作精度が甘いことから、PCをかなり選びます。実際、結構多くのPCで、金具をセキュリティスロットに差し込んでも、ダイヤルが回らずロックがかかりませんでした。仮にロックがかかったとしても、この可動式の爪は、見るからにあんまり頑丈そうに見えないので、少々心配です。ノーブランド商品だけでなく、PCサプライメーカーからもこれと同じ商品が出ているようですが、この商品だけはやめておいた方が無難です。
私はケンジントンの回し者ではありませんが、もしお金に余裕があるなら、頑丈で相性問題の少ない、オリジナルのケンジントンの製品を検討することを強くおすすめします。でも、予算等の理由で他社製品を選ぶ場合は、あんまり安過ぎるものは選ばない方が賢明です。それに、相性問題がある事を考えると、会社ではいきなり大量に購入するのではなく、まずは少しだけ買って相性を確認してからの方が良いでしょう。