「めりも天気予報」〜かわいいは、礼儀!

最近登場した「はてなハイク」のアイドルが、めりも天気予報の「めりも」ちゃん。
このキーワードに、たとえば「明日の東京の天気を教えて!」と書くと、しばらく経ってから、「ositoさん、こんにちわっ。明日の東京都 東京の天気は曇のち晴です。最高気温は21℃だそうですよ。あたるかなぁ…」などと返事を返してくれる、言わば「お天気お姉さん」です。
とは言っても、この「めりも」ちゃんは、実在の人物ではありません。実は、はてなハイクの投稿を定期的にチェックして、それに対して自動的に応答する、コンピュータプログラムです。
百聞は一見に如かず、私が細かい能書きを垂れるよりも、「めりも天気予報」を一度ご覧になった方が話は早いでしょう。


それにしても、「めりも」ちゃんの返答を読んでみると、コンピュータプログラムのくせに、何だか妙に人間臭い気がしませんか?
とは言え、プログラムそのものは、複雑な文法解析や複雑な思考ロジックを持っているわけではなくて、投稿の中から「東京」「大阪」といった地域や「今日」「明日」とか「ありがとう」といったキーワードを抽出して、それに応じて、沢山の返答パターンの中から答えが返される、といった感じなのではないかと推測されます。もしそうであれば、技術的にはそれほど真新しいものではない、ある意味古典的なものと言えるでしょう*1
しかし、応用がすばらしい。私が一番立派だと思ったのは、めりもちゃんの礼儀正しさ。天気を教えてくれためりもちゃんに「ありがとう」と返答すると、ちゃんと「どういたしまして」等と返してくれることです。こんな仕掛けを作られたら、思わず「ありがとう」と返事をしたくなってしまうではありませんか! 作者の人柄がよく表れていると思います。
私も以前にかわいいは、礼儀!と題する記事で、「かわいい」と「あいさつ」の共に持つ、相手に親しみを感じさせ、相手との距離を近付ける効能について書いたことがありますが、両方が組み合わされると特に相乗効果を発揮するものかもしれません。


加えて言うなら、決してワンパターンなマニュアル返答ではない、返答パターンの豊富さや、時々思いがけない返事を返してくれる意外性も、そして、いつもニコニコ返事を返すだけでなく、時には地域がうまく判定できず困ってみせたり、天気とは関係ない話題を聞かれたら「しらないもーん。ぷいぷい。」などと可愛く怒ってみせたりと、キャラクターの返答パターンに喜怒哀楽をうまく織り込んでいるところなど、コンピュータのめりもちゃんに何だか「人間臭さ」を感じさせてしまう「工夫」があちこちに隠されています。これは、開発者であるid:udzukiさんのアイディアの勝利です!


考えてみました。「鉄腕アトム」や「ドラえもん」のように、人間の話を聞いて理解し、意志を持って返事をするロボットの登場は、まだまだ遠い先の話でしょう。しかし、そんなロボットが仮に登場したところで、その漫画のように「ロボットと会話」をしたいと思うでしょうか。きっと、最初のうちは非常に抵抗があるのではないかと思います、いや、抵抗があるに違いありません。もっと言うなら、ロボットと普通に会話する人間は、きっと「ロボット萌え族(仮)」として社会から白い目で見られるでしょう。
しかし逆に、コンピュータが人間と擬似的な「会話」をする技術は、うまく発展できれば、「難しい」という先入観を抱きがちなコンピュータに親しみを感じさせ、コンピュータとの心理的距離を近付ける手助けになるのではないでしょうか。たとえば、googleめりもちゃんみたいに普通の言葉で検索できて、しかも人間臭い返事をしてくれたら、「ググれ!」と言わなくても喜んで検索サイトを使ってくれるようになるかもしれません!? 私は「めりも天気予報」に、そんな未来の時代の先触れをちょっと感じました。
(こういう自然語検索の試みは昔からあって、たとえば、かつてOffice97とか2000に付いてきたイルカもその一つでしたが、例のイルカは便利どころかむしろ「ウザい」と思っていた人が多かったかもしれません。何しろ、邪魔な場所に居座って、しかも質問文を入れてもあんまり的確な答えを見付けてくれない「おばかさん」でしたから。「ちゃんと実用的に使える」そして「ユーザの邪魔をしない」というのは、やっぱり基本ですが。)


何はともあれ、このような技術は、今後どのように発展していくのでしょうか。今後が楽しみです。

*1:もちろん、投稿とか天気をネットで取得する部分は、インターネットの技術が発展した今だからこそ可能になったものですが