コミケで子供向けイベントをやるのは時期尚早

夏休みにパワパフZのイベントがコミケ会場内で企画されていますが
コミックマーケットコミケ)は子供向けのイベント会場ではありません
父兄同伴であっても、子供が参加するのは危険過ぎます


8月11日(金)〜13日(日)に行なわれる「コミックマーケット70」の西ホール4F企業コーナーアニプレックスブースにて「出ましたっ!パワパフガールズZ」の声優3名が参加するステージイベントが企画されています。
このイベントの広告が集英社の少女マンガ雑誌「りぼん」の夏休み増刊号「あみーご」に掲載されました。


記事では、「夏休み パワパフのイベントで遊ぼ」「コミックマーケット70でパワパフZに会える!」と、遊園地の特撮ショー(○○○遊園地でキミと握手!)のような書き方がされていますが、実際にはまったくそのようなイベントではありません。


お子さんに「パワパフのイベントに連れて行って」とせがまれても、絶対に承諾しないでください。
都内や近郊の小・中学生などが、子供だけのグループまたは個人で参加しようとしていたら、引き留めてください。


http://nokids-comike.hp.infoseek.co.jp/ribon.html


 上に一部引用したように、同人漫画とかコミケとは何たるかを全然知らない親子を対象にしたアニメイベントが、コミケの企業ブースで開催されるとのこと。しかし、これは時期尚早ではないでしょうか。


 まず、コミケ会場はとにかく混雑が激しいものです。朝方は行列に長い時間並ばされるし、企業ブースは満員電車並――あるいは、大晦日アメ横並と言った方が近いでしょうか――に混雑します。容易に迷子になりかねません。トイレも長い行列ができて、すぐには入れません。疲れても休むベンチはありませんし、熱中症の危険もあります。


 次に、一般向けコンテンツを配布するブースとアダルトコンテンツを配布するブースは、ある程度は分けられているものの*1、明確にロープ等で区切られて「ここから先18歳未満立入禁止」などの表示があるわけではありません。本来大人を対象にしたイベントなので、ちょうどインターネットのサイトを利用する時と同じく、自己責任で識別しなくてはなりません。
 インターネットも利用するサイトをちゃんと選べば健全に利用できるのと同じく、コミケも巡回する区画や実際に売られている同人誌をちゃんと選べば健全に楽しむことができます。*2しかし、その能力が未熟な小学生以下の子供をいきなりコミケに放り込むのは、親の監督なしにインターネットを勝手に使わせるのと同じくらい危険です。


 私は何も、子供の漫画同人活動をダメと言っているわけではありません。以前にも「ドラえもんで同人誌の話」で書いたように、私は小学生くらいの子供が趣味で漫画を描いたり、その中で特に興味ある人は漫画同人誌を作ったり他人の作品を読んだりして交流したり、そういう事は是非積極的にやって欲しいし、それが理想だと思っています。
 なるほどコミケの主催者側も「コミケは親子連れが来ても危険ではない。そういうイベントにしていきたい。」と言っています(http://t_szhr.at.infoseek.co.jp/triangle70.txt)。しかしこれは理想論でしょう。現状のコミケに関して言うなら、大人の参加者を中心に考えられたイベントであり、子供の参加者のことはほとんど考慮されていません。それゆえ、子供が参加するにはリスクもあります。まずすぐにでも出来る最低限の事として、一般向けコンテンツとアダルトコンテンツを扱うブースを、子供の来場者にもはっきりわかるよう標識を付けて区切る、そんな簡単な事すら実施されてないのに「危険ではない」だなんて脳天気もいいところです。


 もしこのイベントに参加しようと思っていたお子さんや保護者がいらっしゃるようでしたら、上記のことをよく考えて、参加するにしろしないにしろ、適切なリスク判断をなさるよう切にお祈り申し上げます。

*1:同人誌を配布するブースはある程度区切られていますが、企業ブースは大抵混ぜこぜです。

*2:実際私もコミケで一番好きなのは「創作少女(漫画)」の区画にある漫画ですが、その区画は健全な作品が多くを占めています。