2次元と3次元のギャップ

昨日、テレビの「月光音楽団」見たんです。「月光音楽団」。

そしたらDA PUMPYUKINARIさんが「休日になるとよく秋葉原へ行く」とか言ってるんです。

で、まだ行ってないけど気になる場所は「メイドカフェ」だとか言って、番組内でメイド喫茶ゴッコやってるんです。

なんかナッツが「お帰りなさいませご主人様」とか言ってたり、萌え萌え叫んだりしてるの。もう見てらんない。

メイド喫茶ってのはな、もっとよそよそしくあるべきなんだよ。

目立ち過ぎず、媚びた色気を出さず、上品でストイックな、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。

で、やっと座ったかと思ったら、「ご主人様、肩の方お借りいたします」、とか言ってるんです。

そこでまたぶち切れですよ。

あのな、スキンシップ系サービスなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。

得意げな顔して何が、「肩の方お借りいたします」、だ。

お前は本当にお茶する気があるのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい

お前、キャバレーか何かと間違えとるのとちゃうんかと。

メイド喫茶通の俺から言わせてもらえば今、メイド喫茶通の間での最新流行はやっぱり、

ヴィクトリアン(レトロ英国風)メイド、これだね。

ヴィクトリアンメイドってのはロングスカートでストイック。それに客に媚びたりしない。

しかしこれを薦めると「可愛いけど、お帰りなさいませご主人様って言わないし、メイドさんとゲームできないし、オムライスにケチャップで字を書いてくれないし、全然つまらない」と言われる危険も伴う、諸刃の剣。

素人にはお薦め出来ない。

まあお前みたいな奴は、アンミラにでも行ってなさいってこった。



(分からない人に一応解説:いわゆる「吉野家コピペ」が元ネタ)

 最近テレビでは「アキバ系」とか「おたく」と言うと、アニメとかフィギュアとかゲームなんかよりも、メイドさんの仮装にばっかり注目が向いているような気がする。

 そんな傾向に違和感を持つアキバ系も少なくないかもしれないが、一つ言えることがある。アキバ系文化のうち、アニメやフィギュアやゲームは一般人にはなかなか理解し難いが、メイドさんというものは、まだ辛うじて理解できなくもない、そんなものかもしれない。実際私も、アニメの話となるとてんで興味がないという一般人相手でも、ちょっとメイド喫茶の話となると、「もう萌えインフレはうんざりだ」とばかりに少々醒めた感じで話す私以上に、もう入れ食い状態でその話に付いてくること付いてくること。「どんな感じなの?」「高いんじゃないの?」「お帰りなさいませご主人様って言うのは本当?」「ゲームできるって本当?」などと質問攻めに遭うのが常だ。

 さて、アニメとメイドさんの仮装、どこが違うのだろう。結論から先に言うなら、2次元か3次元か、架空のアイドルか現実のアイドルか、といったところに結局行き着くのではないか。世の中、「アニメの世界の架空のアイドルにお熱を上げるなんて、終わってる。あんな風になったら、現実の女性を愛せない人生の落伍者と同じになってしまう」と思い込む風潮が蔓延しており、それはアニメを敬遠する理由の大きな一つとなっている。同じ美少女アイドルなら、アニメの2次元のアイドルよりは、ハロプロ系アイドルとか小倉優子みたいな3次元のアイドル(たとえ中高生くらい若い年齢であっても)が好きという方がよっぽどマシだ、というのだ。

 かつては“アニメマニア=ロリコン=犯罪者予備軍”という決め付け、つまり道徳的な大義名分でアニメマニアを白眼視する人が多かったように思うが、今では道徳的理由は二の次で、単に「この世界は、わからん」とか「アニメのヒロインにお熱を上げて、現実の女性から目を背けるなんて、人生終わってる」などという主観的な“理由”から二次元萌えコンテンツやそのマニアを敬遠する、そんな人が増えたのではないだろうか。

 もちろん、アニメと一口に言っても美少女系の萌えアニメばかりが全てじゃないし、誰も彼もが架空のヒロインに恋して見てるわけではない。そういう人も居ないわけではないが、少なくとも私にとっては、アニメのヒロインはたとえ可愛いところで、自分の恋愛対象としては全く眼中に無い。私もこう言いたいところだが、それでもともかく、こういう先入観がある事だけは事実のようである。

 このように、「電車男」が一大ブームとなり「アキバ系」や「萌え」という言葉を女子高生の口からも聞くほど流行り言葉となった現在であるが、今、世間一般が一番注目しているのは、「メイドさん」という一番取っ付きやすい3次元の世界を、しかもアイドル的に、であって、その元となった2次元の世界にはまだまだスポットが当たらない。このように、いくらマスコミで「アキバ系」がもてはやされたところで、依然としておたくと世間一般との間には、このように「2次元と3次元のギャップ」が存在している。その上、こうやって注目されているのは、大抵は「アキバ系特集を組めばウケるから、視聴率が稼げるから」という興味本位であり、従って、“おたくにデレデレするメイドさんと、「萌えー」と叫んでいるおたく”みたいに「絵になるキテレツな部分」ばかりしか取り上げず、しかもテレビに出てくる“アキバ系”とやらも、どこぞの事務所の俳優にそれらしき格好をさせて演出させる事が多いものである(たとえば実際、「トリビアの泉」で電車男のように女性を助けたアキバ系とやらも、「電車男」に出てきたチョイ役の俳優だったりした)。

 とは言え、平成初期の集団ヒステリー的なおたくバッシングの荒れ狂っていた昔に比べると、飽くまでも比較論に過ぎないが、それでもだいぶマシな世の中になってきた。依然として萌えアニメとか子供向けアニメは「こんなのが好きだなんて、わからん」という顔をされるが、それでも、昔ほどヒステリックにうるさく言われる事は少なくなってきた。「ハチクロ」みたいに漫画自体が好きな人なら取っ付きやすいアニメ作品であるなら、番組を録画しておいた事を感謝される程になってきた。それだけでも、何と有り難い時代になったことか。