4月放送開始の新アニメ

 4月は新アニメラッシュ。私がチェックしているものを。なお初回視聴の論評も随時追加。

特に注目

  • 英國戀物語 エマ これまではメイドさんと言っても、押しかけ女房的、萌えアニメメイドさん作品が多かった深夜アニメ時間帯に、歴史に比較的忠実で硬派な正統派メイドさん作品が初登場。正統派メイドさん大好きな人は要チェック。[評価:★★★★★]文句なくおすすめ。大人を主人公にした、大人の紳士淑女向けの高級感ある“世界名作劇場”といったところ。これまでアニメを敬遠していた方も、この作品だけは食わず嫌いせず、是非紅茶片手にゆったりと御覧いただきたい。まず作画クオリティが最高(日本人による作画のようだ)。テレビアニメは子供騙しの安っぽい品質の電気紙芝居だと決めてかかっている人は、騙されたと思ってこの作品を一度見て欲しい。人物も綺麗だし、特に背景の緻密さには息を呑むほどだ。ロンドンの街行く人々や馬車、市場の商人や花売娘など、背景の人々までもテレビ版アニメのくせに贅沢に動く動く動く。オープニングやエンディングが歌ではなく曲のみというのも大人っぽくて良い。主人公エマの声は(おたく向けアニメのような)男に媚びたブリッ子声とは全く異なり、品位ある落ち着いた声であり、好感が持てる。このように媚びた色気など全くなく、ある意味、物静かで地味なキャラだが、しかしそんなストイックな中にも、髪の毛を梳(と)かしたり、エプロンを替えたりする、何気ない仕草が粋であり、きっと多くの男性視聴者の胸をときめかせてしまうだろう事は間違いない。ストーリー展開も決して派手ではないが、多くの台詞よりも、登場人物の細かい仕草などの「絵」が見た人の心を動かす、そんな作品である。
  • ガラスの仮面 今回で二度目のテレビアニメ化。[評価:★★★★☆]原作と違い、横浜港に横浜ベイブリッジや大観覧車が存在し、テレビのチャンネルも赤外線リモコン式になっている平成の今の日本が舞台。しかし、美内すずえ先生の原作の雰囲気をあまり壊さずに、うまく今の時代に舞台を移動できているのが素晴らしい。作画や技術等もデジタルアニメとしては比較的オーソドックスな作りであるが、全体的には不自然さもあまりなく、しっかり作られていると感じた。「あー、ここの作画や動きが何か不自然」などと気を散らされることがあまりなく、安心して作品世界に入り込めた。まあ、まるでマヤがお芝居に夢中になってしばし現実と虚構を忘れてしまうがごとく、視聴者が作品世界にすっかりのめり込んでしまう、それ程の出来こそ、この「ガラスの仮面」という作品に要求されるクオリティではないかと私は思うが、まあ合格点である。大晦日の夜に出前99軒の有名なエピソードは、マヤが苦労して配達している様子にちゃんと時間を割いて細かく描かれていたし、「椿姫」の劇のさわりが具体的なイメージでわかるなど、原作を何度も読んだ人にとっても新しい発見が多いだろう。一言だけ苦言を呈するなら、原作の毒っ気が足りない。東海テレビの昼メロくらいのネチッこさが欲しいとまでは言わないが、登場人物が原作よりも大人しくなっているきらいがあるようにも思える。

一応チェック

  • ドラえもん 新キャスト版は一度は見ておかねば。[評価:★★★☆☆]そもそも「ドラえもん」の原作は漫画であってアニメではない。大山のぶ代の声が懐かしいとか、違和感があるとかはあまり言わないのがお約束。旧作(以下、旧ドラ)とは別物と割り切ろう。我々が新しい声優の声に慣れてない事を除けば、全体的な出来は比較的良いだろう。ドラちゃんの声はまるでサザエさんの花沢さんみたいで以前より高い声で、まったり感の少ないシャキッとした何だか奇妙なドラちゃんだけど、初回にしては表情が本当に生き生きしている。「ウフフ」と笑う旧ドラとはまた違った、「あ〜ッ(ハート)」と叫んでニッコリ笑うドラちゃんが微笑ましい。それに、のび太が年々よい子ちゃんの優等生的になっていった旧ドラ後期と違い、原作のギャグの雰囲気がそのままピリッと効いているところは、原作のファンにはうれしい。今後どんな作風になっていくのか期待される。
  • ハチミツとクローバー 漫画版は有名らしいが、読んだ事無い。[評価:★★★☆☆]一言で言うなら、「おたくの出てこない『げんしけん』」。アニメーションシリーズ名の「ノイタミナ(noitamina)」とは"animation"を逆に綴ったものらしい。背景がやけに細かく描かれているのが綺麗だし、主題歌や挿入歌がYUKIスピッツの歌だったりと、マニアではない一般視聴者層を狙ったと見える。しかしながら、私の正直な感想として、この作品は万人向けとはちょっと言い難く、人を選ぶアニメかもしれないので、“布教”を考えている人は注意。少女漫画やアニメのお約束に慣れてない一般人には、特に途中のギャグに付いていくのがちょっと難しそう。少女漫画に慣れている人なら大丈夫(だし、萌えアニメに慣れている人ならなおのこと完璧)で、その条件さえ満たしていれば、気楽にまったり楽しめる作品だろう。
  • ツバサ・クロニクル 成長した「カードキャプターさくら」の登場人物が登場? 作品世界がCCさくらより複雑になっていて、多分私の頭ではあんまり理解できないかも?[評価:★★★☆☆]カードキャプターさくら」の、さくら・小狼桃矢・雪兎・知世に加え、「魔法騎士レイアース」のモコナ、「ちょびっツ」のちぃなど、CLAMPキャラクターたちが今度は別の配役として登場しているのがユニーク。さくらと小狼の声は以前より大人っぽい声の声優に変わっているが、それほど大きな不自然さはないし、桃矢がさくらをからかうシーンなど、どこかで見たようなシーンがCCさくらを見てきた視聴者には懐かしい。ただし、やはりCCさくらより作品世界が複雑になっているのは確か。ファンタジー作品のお約束に慣れている人向けだろう。
  • ふしぎ星の☆ふたご姫 アニメおたくの間では結構期待されてるらしいが、多分あんまり私の好みではなさそう。[評価:★★★☆☆]お子ちゃま向けドタバタアニメ。でもこれはディズニープリンセスなんかにハマッてるお姫様好きの女の子と、ぷにキャラ&双子&魔法少女猫耳好きなアニメファン青年という、同時に二種類の視聴者層のハートを思いっきりくすぐっちゃうこと請け合いの作品だ。後者について言うなら、まさに「萌え」のツボを的確に突いている。前回「好みじゃない」と書いたのは撤回で、悪かぁ無い。双子がハモって台詞をしゃべるのが、とても愛らしい。でもアンタ達、プリンセスアワー(という別のアニメ番組)のマリー&レイナ(冒頭でサイコロを振ってる、赤と青のドレスの双子の女の子)とキャラかぶってますから!残念! 何はともあれ「おジャ魔女どれみ」みたいな感じの作品が大好きな人なら、きっとこの作品も夢中になれそう。
  • おねがいマイメロディ 萌え界のダークホースか、それともアキバ系には見向きもされないか。全く予測が付かない。マイメロを抱いてる女の子(歌ちゃん)は、ハム太郎で言えばロコちゃんといったところか?[評価:★★☆☆☆]良くも悪くも“ダメアニメ”。こんなのマイメロじゃな〜い!と大きな声で叫びたいほど。特に主人公が自分のことを「メロディ」ではなく俗称の「マイメロ」と呼ぶのが大いに違和感あり。ストーリー展開も、まあ、ありきたりのドタバタアニメといったところ。やっぱり、アキバ系には見向きもされない可能性が高いだろう。とは言え、暇つぶし用に気楽に見るのには良いし、いかもの趣味的にも楽しめる。

参考までに、現在放映中のもの