遮音性が高いのはいいけれど

 私の地元である木更津市は、自衛隊基地の近くに住んでいると、世帯の人数に応じて何部屋か、防音工事を只でやってくれることになっている。ヘリやジェット機の音がうるさいという苦情対策としてだろうけれど、実際住んでいる人は航空機の音に慣れっこになっていて、せいぜい航空祭やその前の練習の日にいつもよりうるさく感じる程度で、あとはあまり気にしていないことが多いのが実情なのだが、まあ只で家を改装してくれるのなら悪くない。

 そんなわけで私の家も何部屋か防音工事済である。古い天井と壁を剥がして新しいものに付け替え、窓も防音窓を付けてくれる。窓を開けられないと夏が大変だということで、エアコンとロスナイ換気扇(熱交換機の付いた換気扇)まで一緒に付けてくれるのは、とてもありがたい。

 ところが、遮音性が高過ぎると逆に困る事もあるのに気付いた。部屋同士の遮音性も高くなってしまうのだ。プライバシーは守れる反面、ある部屋の壁に掛けたドアチャイムが、向こうの部屋ではほとんど聞こえない。隣の部屋で鳴っている携帯電話の音に気付かない。「音は隣の部屋に筒抜けで当然」という伝統的日本家屋の思想にどっぷり浸かっていた私にとって、これは意外な発見であった。



まあ、ドアチャイムについては、市販品で対応するなら、ドアホン付き親子電話ということになるだろうが、そんな予算は無い。ここはアキバ系の本領を発揮して半田ゴテを握るべき時である。目を付けたのが、ダイソーの150円チャイム。安いからたくさん買えるし、改造用にはもってこいだ。



こんな風に改造してみた。スイッチを押すと、左側の親機内の回路が作動し、親機と子機の両方のスピーカからチャイムが鳴る。まだ実際の場所に付けてテストしていないが、線をつないでみたら、とりあえず正常動作した。線をもっと延長すると、ほんの少し音は小さくなるが、それでもちゃんと鳴る。



何てことはない。単純にスピーカ配線を並列でつないでいるだけである。子機の回路は殺してあるし、子機側には電池は要らない。線をつなぐのに設置場所でいちいち半田付けするのも面倒なので、ケースに穴を開けて端子を付けてある。なお、最初はスイッチだけ並列につなごうと思ったのだが、回路が誤作動して鳴りやまないから、この方法は使えないようだ。リレーを使って全装置のスイッチを入れる方法も考えたが、配線が面倒なので止めた。