「クレジットカードのショッピング枠を現金化」ってなあに?

 この種の広告は、電柱のビラやネット広告でよく見かけるが、果たしてどんな人のためのサービスなのだろうか。

 そもそも、クレジットカードにはキャッシング機能が付いているのが普通であり、たとえば10万とか30万円といった限られた枠内(キャッシング枠)で金を借りる事ができるようになっている。

 ところが、キャッシング枠を使い切ってしまうと、それ以上金を借りる事はできない。しかし、カードで買い物ができる限度額(「ショッピング枠」)は残っている。それを使って金券を買い、それを売って現金にしてしまえば、実質上金を借りる事ができるわけだ。

 「何だ、そういう話なら安全じゃないか」と思った人は危機管理能力がないので気を付けた方がよい。これは普通、カードからもサラ金からも限度一杯まで金を借り果たして返済能力のなくなってしまった人が、藁をもつかむ思いで頼るものだ。なぜかというと、サラ金で借りられるなら、そちらの方が断然金利が安いのだ。


 「おや?この手の業者は『利息はカードの標準利息で消費者金融より安い』と宣伝してるはずなのに?」確かにそうだが、それは真実を半分しか伝えていない。金券をカードで買ってから現金で売るといっても、同じ金額で売れるはずがない。その差額が業者の儲けになり、客の損になるのだ。この分を入れれば、実質的な金利サラ金の何倍も高い。返金率は良くても8割といったところだろう。ここから実質的な金利を計算してみると、カードの引落日が来るまでの約二ヶ月で二割五分(年率に直すと十五割!)と、とてつもなく高い。良くてこの利率だ。8割返金ならまだましで、足元を見られて半分以下になるケースもあるというが、そうなると「トイチ、トサン」の闇金と利率が変わらなくなってくる。

 以上の試算は一括払いの場合での話であり、カード会社への支払いを分割払いにすると、その業者分の実質的な金利は幾分か安くなる。ところが分割払いにすると今度は、カード会社に支払う手数料分を払わなくてはならない(このカード会社の手数料が業者の言う“金利”だが、これだけで済むなら、そんなうまい話はない)から、その分の金利もプラスして考えなければならない。結局、現金はすぐに手に入っても、それはチョコッとだけで、後には沢山の借金が残るだけである。だから、普通の人は、まず手を出さない。

 それを考えると、これがどんなにおいしい商売なのか、どんなに電柱のビラやネット広告やスパム投稿をゲリラ的に打って沢山客を集めたいものなのか、おわかりいただけることだろう。このような、形を変えた高利貸しで財産をすってしまわないように、皆さん気を付けていただきたい。言うまでもないことだが、返済できないことがわかっていながら、このような方法でクレジット会社から金を借りることは、詐欺罪になるから、たとえ資金繰りが苦しくても決して行ってはならない。

参考リンク:消費者をだます悪質な手口 クレジットカードで現金化消費者金融連絡会)