米の話

 「0.5」とか「1」と書かれたボタンを押すと半合や一合分の米が出る米櫃がある。私の幼い頃、他の家にはこんなに便利なものがあるのに、なぜ自分の家にはないのかと思ってた。家が貧乏で買えないからかと思った。

 理由に納得したのはつい最近のことだ。私もこのような米櫃を買おうと思ってホームセンターに行ってみたのだが、図体がデカい割には、あのボディの半分くらいしか米が入らないという事実に、生まれて初めて気が付いた。結局買うのをやめることにして、これまで通り単に米を入れる箱としての機能しかない米櫃と計量カップを使う事にした。考えてみると、ボタン式は単に物珍しいだけで、私としては計量カップでも何ら不便は感じない。

 さて肝腎の米だが、かつて、米屋に並んでいる米には「金印」「銀印」「標準価格米」の三つのグレードがあった。標準価格米が一番安いのだが、味にうるさい人には評判はよくなかった。ササニシキコシヒカリだと銘柄が知られてくるようになったのは1980年代中頃だろうか。当時はホカ弁ブームで、「ほっかほっか亭」をはじめ「ごはん亭」「こがねちゃん弁当」「ほっかほっか大将亭」など色々な弁当屋が雨後の筍のように登場したが、看板やポスターには「ササニシキ使用」などと自慢げに書かれていたものだ。

(話は弁当屋に少しそれるが、千葉県のローカルなコンビニチェーン「としまや弁当」もこのホカ弁ブームの時代は「ほっかほっか亭」みたいな単なる弁当屋だった。その少し後に本や雑誌も一緒に売るようになって、今のような店舗スタイルになっている。キムタクおすすめの「チャーシュー弁当」や、木更津名物「バーベキュー弁当」がうまい)

[ふさおとめ 隠れたチャームポイントのあんよに注目] 今の千葉県でよく売られている銘柄は、何と言っても「コシヒカリ」が断トツで、他に「ふさおとめ」「ひとめぼれ」「あきたこまち」など他の銘柄が続く。実はどれもコシヒカリの血を受け継ぐ品種であり、「ササニシキ」の栄光今いずこ、といったところだ。

 左にある写真は千葉ローカルの銘柄「ふさおとめ」である。ふさおとめは店で売られているコシヒカリ系の米の中でも一番安い事が多いので私もよく買っている銘柄だ。登場した当初は、アニメキャラクターっぽいパッケージでは敬遠されてしまうのではと他人事ながら心配だったが、特にそんなこともなさそうだし、もう既に定着してしまった感がある。色々な意味で時代は変わったものだ。