遮音性が高いのはいいけれど

 私の地元である木更津市は、自衛隊基地の近くに住んでいると、世帯の人数に応じて何部屋か、防音工事を只でやってくれることになっている。ヘリやジェット機の音がうるさいという苦情対策としてだろうけれど、実際住んでいる人は航空機の音に慣れっこになっていて、せいぜい航空祭やその前の練習の日にいつもよりうるさく感じる程度で、あとはあまり気にしていないことが多いのが実情なのだが、まあ只で家を改装してくれるのなら悪くない。

 そんなわけで私の家も何部屋か防音工事済である。古い天井と壁を剥がして新しいものに付け替え、窓も防音窓を付けてくれる。窓を開けられないと夏が大変だということで、エアコンとロスナイ換気扇(熱交換機の付いた換気扇)まで一緒に付けてくれるのは、とてもありがたい。

 ところが、遮音性が高過ぎると逆に困る事もあるのに気付いた。部屋同士の遮音性も高くなってしまうのだ。プライバシーは守れる反面、ある部屋の壁に掛けたドアチャイムが、向こうの部屋ではほとんど聞こえない。隣の部屋で鳴っている携帯電話の音に気付かない。「音は隣の部屋に筒抜けで当然」という伝統的日本家屋の思想にどっぷり浸かっていた私にとって、これは意外な発見であった。

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