イラク邦人拉致事件で浮き彫りになった、ネットのモラル

 先のイラク邦人拉致事件の直後、被害者3人の支援団体が「3人の若者たちを救うための100万人緊急行動を!」と題して、「自衛隊イラクからの撤退を電話・FAX・電子メールで政府に要望する運動を、あなたの友達100人に呼びかけてください」「100名がさらに100名に送れば100万人に届きます。これは緊急です」といった趣旨の、チェーンメールの呼びかけを行ったことが、インターネット利用者の反感を引き起こした。私自身のメールアドレスには届かなかったが、私が時々見ている掲示板に同じような趣旨でスパム投稿されているのを見て、こんな迷惑な運動をしているということを知った。

 さっき「迷惑な運動」と書いたが、こういったプロ市民団体の運動そのものが迷惑と言っているのではない。もっとも私個人の意見としては、このチェーンメールは被害者にかこつけて「唯一の解決方法は自衛隊撤退しか残されていない」という彼ら左派団体の主張を都合良く宣伝しようという下心が少し感じられてあまり快く思えなかったのは確かだ。それに、私が掲示板で見た文面では、自民党政権自衛隊を声高に糾弾する割には、テロリストをまるで良く言っているような内容だったのが、非常に引っかかった。とは言え、確かに、自衛隊イラク派遣は、軍事面でどっちつかずの生ぬるい態度を示している日本の立場という問題に始まり、様々な課題を抱えており、簡単にはい、はい、イエス、イエスと言い切れる問題ではない。反対意見もあることは理解できる。反対運動をやるのも自由だ。

 しかし、チェーンメールという手段だけは、是非とも止めていただきたい。

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