“フリーソフトがソフトウェア産業を滅ぼす”?(その1)

 無償ソフト(フリーソフトフリーソフトウェアと呼ばれる)、あるいはオープンソース(ソースプログラム公開)ソフトの氾濫は“ソフトウェア産業を滅ぼす”。最近、この主張を時々耳にするようになった。たとえばLightCone氏によるフリーソフトがソフトウェア産業を滅ぼすという文章は、この種の主張の代表的な意見である。

 実のところ、フリーソフトウェアソフトウェア産業を脅かすという意見は、私の知っている限り、MS-DOS全盛期の約十年前には既に存在していた。当時、市販CADソフトを何十万円もかけて導入していた建築事務所等では、jw_cadというフリーソフトウェアが登場すると、すぐに人気になり、あちこちで導入するようになった。無料なのに市販ソフトにひけを取らない高機能は一番の魅力だったし、ドングルプロテクトもかかってないので、複数台のPCで同時に図面を描く事ができ、仕事が効率的になった。この状況にいい顔をしなかったのは、当然ながら、市販CADソフトのメーカーである。当時、フリーCADソフトの擡頭(たいとう)を憂慮する市販CADソフトのメーカーが連合したという話がパソコン業界でニュースになったのを覚えている。(その後どういう展開になったのかは不明だが。しかし少なくとも、jw_cadが今でも業界で広く使われているということは確かだ。)

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