中国語・韓国語の案内表示は日本の国益に繋がる


 最近、「駅などの公共施設に中国語や韓国語の案内表示は要らない」とか「目障りだ」と云ふ意見を目にするやうになつてきました。
 「中国や韓国は反日教育を行つたり、日本に戦争犯罪の濡れ衣を着せたり、領土問題ででかい態度を取つてゐる!」「それに、不法入国した中国人や韓国人が犯罪を犯してゐる!」成る程、確かにさうかも知れません。しかし私は、「だから日本の公共施設から中国語や韓国語の案内表示を取り除け!」と云ふ意見には、正直な所、疑問を抱いてゐます。

中国語・韓国語の案内表示は旅行客の為のもの

 街中の中国語・韓国語の案内表示を必要とするのは、永年日本で暮らして生活に溶け込んだ在日と云ふよりも、中国や韓国からの旅行客です。仕事で必要に迫られてと云ふ人もゐるかも知れませんが、観光客について云ふなら、「わざわざ他の国ではなく日本に興味を持ち、わざわざ日本を選んで、わざわざお金を掛けて来てくれた」人々です。
 日本語・英語・中国語・韓国語を交互に表示してゐる、京急品川駅の電光掲示板がよく槍玉に挙がりますが、最近国際線が強化された羽田空港への経路としてよく用ゐられる事を考へると、必要に迫られて設置してゐる事はすぐわかります。さうでもしないと、駅職員がわざわざ口頭で説明したり案内したりと、今よりも余計に手間が掛かる事になりかねません。
 まあ、「中国人や韓国人の犯罪」を理由に「中国語や韓国語の案内表示を取り除く」事を求めるのであれば、何故「在日米軍による犯罪」があつても、英語の案内表示の排除は要求しないのか、と云ふ疑問が残ります。憎むべきは犯罪であり、言語でも民族でもないはずです。犯罪は容赦しないと云ふ態度を示すだけではなく、善意の旅行者は歓迎すると云ふ態度も重要だと私は思ひます。

「本当の日本」を旅行客に伝へよう

 「獨島(竹島の韓国名)は我が国の領土、と主張する韓国人は日本に入れる訣にはいかない」と主張する人もゐるかも知れません。しかし、よく考へてみてください。貴方が中国人や韓国人なら、「尖閣諸島は日本領だ」「竹島は日本領だ」と主張するでせうか。たとへさう思つてゐても、村八分になつたり、家族から勘当されたり、職を失つたり、命さへ危なくなる可能性もあるので、そんな怖い事は出来ないに決まつてゐます。そもそも、中国や韓国に都合の悪い歴史が徹底的に弾圧されるやうな社会では、「日本の主張にも耳を傾けてみるべきでは」と云ふ気さへ起こさなくなるやうに「教育」されるのです。ですから、たとへ韓流スターが「獨島は我が国の領土」と言つても、「可哀想に、無理矢理言はされて」と思つた方が良いのでせう。
 その思想改造はあまりにも強力ですから、中国や韓国が反日教育を続ける限り、そして中国人や韓国人が自国に留まつて日本に来ない限り、反日教育の「嘘」は国民になかなかばれる事はありません。しかし日本にとつて幸ひな事に、最近、中国人や韓国人の方から、わざわざ自腹を切つて日本にやつて来てくれてゐます。
 それでは、日本は中国人や韓国人の旅行客を追ひ出すべき時でせうか。「あまりにも勿体ない」、と私は考へます。「中国人や韓国人に、中国や韓国にゐては絶対に知る事の出来ない『本当の日本』を知つてもらふ機会」をみすみす逃す事になるからです。えっ、「歴史認識や領土に関する日本の主張をまとめた中国語や韓国語のポスターやパンフレットを用意して、観光客の目に触れる様にする」? まあ、これは納得させるのも時間が掛かるので、本当にやるとしても優先順位としては最後の方で良いかも知れません。
 まづは「ありのままの日本を見せる」事です。「学校では日本人は残忍な鬼子だと習つたが、実際に日本に来てみて、親切で礼儀正しい人だとわかつた」「興味深い体験をしたので日本のファンになつた」と云ふ感想はよく聞くものです。中国や韓国からわざわざ来てくれる旅行客を受け入れる事は、日本製品の売上を増やしたり日本のファンを増やす事だけに留まらず、将来的には、日本で学んだ物事の見方とか、日本流の礼儀やマナーを持ち帰つたり、日本を擁護してくれる人や反日教育に疑問を持つ人を増やす事に繋がるかも知れません。それでも彼らを排除しますか。