#廃病院パーティー に参加してきました

 6/29(土)に、東京の初台で開かれたイベント「廃病院パーティー」に参加してきました。
 文学フリマめいた同人誌即売会を複数サークル合同で、元病院だつた建物で開催するとの事で興味はあつたものの、ダークで病んでる雰囲気の企画が多い中、うちのサークル「はなごよみ」が他のサークルと一緒に参加したところで浮いて仕舞ふのでは……?と不安になり、悩む事約一週間。
 そのうち、当日地下で開催されるライブにdetune.が出演すると聞き、「サークル参加すればタダでごーきゅんの生歌が聴けるぞ!」と少々不純な動機で(笑)……もとい、ごーきゅんに尻押しされるやうな形で、サークル参加を決めたのでした。

病院が会場!


 会場に到着したのは11時頃。早速バンドのスタッフらしき人達が楽器等の搬入を開始してゐました。
 病院にしてはこぢんまりとした建物ですが、以前は本物の病院だつたさうです。病院閉鎖後の現在は、病院ロケ用のスタジオやイベントスペースとして貸し出されてゐるのだとか。
 中はかつて病院で使用してゐた設備を一部残してゐて、恐らく昭和3,40年頃に建てられたのではと思はれる(臆測)、少しレトロな造りでした。何だか受附に白衣を着た人がゐたら思はず診察券を出しかねない雰囲気です。
 「(幽霊が)出るんだよ〜」なんて噂はあるものの、あちこちでにぎやかに設営作業をしてゐて、幽霊の出る幕も全くありません。

 そんなこんなで三階に上ると、そこには今回の我々のイベントスペースがありました。病室です。そしてその隣には霊安室

 今回はベッドが見本誌コーナーです。設営も、コミケ文学フリマ等普通の同人誌即売会と少々違ひます。「ょぅι゙ょどこ?」「ょぅι゙ょ貸して」と、「ょぅι゙ょ、ょぅι゙ょ」の言葉ばかり飛び交つてゐました。*1ちっちゃいのに働き者のこの「ょぅι゙ょ」の正体はと云ふと、幼女テープ……ではなくて養生テープ。壁にポスターを貼るのも、天井やカーテンレールからオブジェを吊り下げるのも、後で剥がしやすい養生テープが大活躍です。
 今回の頒布物は、同人誌に加へ、イラストの入つたポストカードやら、脳味噌の形をした石鹸(脳で洗ふから「洗脳」だとか。秀逸なネーミング)やライト等の「脳味噌グッズ」やら、試験管に入つたアクセサリーやら。今回頒布する同人誌についての解説が載せられた無料頒布本も、このイベント内イベントの主宰者である鈴木さんが用意してくださつてゐました。
 そして、その近くでは女子チームが「縄で縛る」「揉みほぐす」の相反する二つのイベントスペースやら占ひやらの店を開いてゐました。
 今回は色々なコスプレの人を目にしましたが、病院らしく白衣が多めでした。もちろん私も白衣でスタンバイ! それにしても、エアコンが効いてゐるとはいへ、気温が高くて少し動き回るだけでも暑いです。まあ、コップにお茶を入れて飲みながら待つとしませう……

 ものすごく病院らしいこんなコップを持参するといふ悪ふざけですが、お茶など入れる飲み物の色によつては何だかそれつぽく見えたりします……

アウェイ戦

 今回はバンドやサブカルが好きなクラスタの中に文学フリマ的なクラスタが入つていつた「アウェイ戦」なので、いつもの同人誌即売会程の来客は期待してゐませんでした。来客数にしても売上にしても、閑古鳥の鳴いた「超文学フリマ」よりも更に少なかつたかも知れません。
 入口から中を少し覗いてすぐ帰つて仕舞ふ人や、同人誌即売会の無料配布カタログを手渡して「立ち読み自由ですよ」と言つても少し眺めてすぐ帰る人が大半でしたが、それでも中には興味を持つて読んでくれたり買つてくれる人もゐて、とても有り難く感じました。
 これは「超文学フリマ」にも「廃病院パーティー」にも共通する問題ですが、今思ふと、入場料を払つた上で、一冊五百円とか千円とかする本を買ふなんて、余程その本に思ひ入れが無いと難しいでせう。実際、イベントの終盤に「正かなづかひ 理論と實踐 創刊號」の初版(デッドストック化してゐたのを発掘)を数部限定で無償頒布したら大変喜ばれたので、「何だ、お金の問題がネックだつたのなら、無料のペーパーをどんどん配つて、無料本も沢山用意しとけば良かつた」としきりに後悔したのでした。
 でも、それだけが今回のイベントの全てではありませんでした。会場内の色々な企画との交流は珍しい体験ばかりで楽しめたと思ひます。

 まづ、先日「超文学フリマ」で初めて存在を知つた「たんきゅん」の中の人と再会出来たのが嬉しかつたです。
(たんきゅんについては、過去の記事を御覧下さい→たんきゅんの車内ライブに出掛けてきたよ
 その後、夕方の地下会場では、中の人の一人である郷さんの心地良いハイトーンヴォーカルに酔ひしれながらdetune.ライブを存分に楽しんで来ました。あの少しアンニュイなたんきゅんサウンドの源流を少し知る事が出来た気がします。
 音楽の世界から文学フリマと云ふアウェイに乗り込んだたんきゅんが私をたんきゅんやdetune.の音楽の世界へ引き込み、そして私はdetune.を含めバンドが多数出演するアウェイに乗り込んで文藝の世界を紹介する。何だか不思議な繋がりです。
 さて、二階には、まるで教室みたいな一部屋があり、皆で絵を描いてゐました。廃病院らしく「おばけの絵」がテーマらしく、私も画用紙を手渡されて描いて欲しいと頼まれたので仕方なく?描いたのですが、はて、花子さんつておばけでは無かつたかなあ。スタッフは「それでいいですよ」と言つてくれましたが……。

 幽霊と云ふと、地下の焼却炉が怪しいのか、写真を撮つてゐた人がゐました。でも多分あれは只のごみ焼却炉です。さすがに棺桶を入れるだけの大きさは無いので……。
 ところで、先程書いた「縄で縛る」が気になつて仕方ない人もいらつしやるかも知れません。でも、裸ではなくて服の上からでしたので悪しからず。それに、女子的な感性なのか、「辱める」ではなく「まるで水引やリボンのやうな、人間を飾り立てるギフトラッピング」としてのショーだつたのは意外でした。

 今回写真はあまり撮影してゐないのですが、最後の一枚。隣の部屋のツボ押し屋さんは、病院らしくこんな椅子を使つてゐました。ものすごく産婦人科的な椅子です……
 さすがに全ては廻りきれませんでしたが、他にも「保健体育の授業」「サブカルの講義」「仮装コンテスト」「映画上映」等もあつたらしいです。
 コミケ文学フリマだけではなく、たまにはアウェイ戦を戦つてみるのも興味深い体験になるものだと感じた今回のイベントでした。「廃病院パーティー」のスタッフの皆さん、同人誌即売会の主宰者である鈴木さんをはじめ当日お会ひ出来た皆さん、ありがたうございました。


 さて、うちのサークル「はなごよみ」は、次回は8月の「コミックマーケット」で姉妹サークル(書肆言葉言葉言葉 2日目 東 P-37a)のお手伝ひ、そして「コミティア」へサークル参加を予定してゐます。お楽しみに。

*1:蛇足ですが、歴史的仮名遣で幼女は正しくは「えうぢょ」です。そして養生は「やうじゃう」。