国語の歴史年表を制作中(御意見募集中)

「正かなづかひ 理論と實踐」次号の特輯は「国語問題」ですが、そこに国語の歴史年表を掲載予定です。
明治~昭和にかけて、特に昭和時代は日本国内だけでなく海外においても、「漢字を無くせ無くせ」の時代だつた事がわかりますが、コンピュータで漢字を扱ふ技術が本格的に普及すると共に、その意見は次第に下火になつていつた(あるとしても「旧字に今更戻せない」「漢字ハングル交じりに今更戻せない」といふ現状維持派)、と私は思つてゐます。
現在制作中ですが、「これも追加した方が良い」「これは間違ひでは」等、御意見をお待ちしてゐます。(コメント欄でもツイッターでもメールでも構ひません)


7~8世紀頃? 「万葉集」が編纂される(万葉仮名)
8~9世紀頃? 漢字の草書体から平仮名へ発展
8~9世紀頃? 漢字の一部の画を抜き出したものがカタカナへ発展
13世紀前半? 藤原定家が仮名遣や本の書き方をまとめた「下官集」を著す(定家仮名遣
1363年以降? 行阿が定家仮名遣の用例を増補した「仮名文字遣」を著す
15世紀後半~16世紀前半 ローマ字表記の日本語書籍が初めて印刷される(キリシタン版)
1693(元禄6) 契沖が定家仮名遣の「誤りを正した」、「和字正濫鈔」を著す(契沖仮名遣)
1716 清国の康熙帝が「康煕字典」を編纂し発行。後には漢字の印刷字形のガイドラインとしても事実上用ゐられてきた
1860年代 フランスによりベトナム語のローマ字表記普及政策が始まる
明治初期? 日本語の横書きが普及し始める
1872(明治5) 学制発布。寺子屋中心の従来の教育ではなく、政府による普通教育の開始
1885(明治18) 「羅馬字会」創立 矢田部良吉、外山正一ら
1900(明治33) 小学校令施行規則により、仮名文字を各48種に規定。表外の仮名(変体仮名)は公教育から外された。教科書での漢語の仮名遣も表音式(字音棒引仮名遣)となるが、不評で後に廃止
1899-1900(明治32-33) 黒澤貞次郎により、ひらがな・カタカナのタイプライターが開発される
1915(大正4)年 杉本京太により「和文タイプライター」が開発される
1920(大正9) カナモジカイの前身、仮名文字協会 山下芳太郎、伊藤忠兵衛 (二代)、星野行則ら
1921(大正10) 政府に臨時国語調査会が設けられる
1924(大正13) 石井茂吉、森澤信夫により「和文写真植字機」が開発される
1934(昭和9) 文部大臣の諮問機関として国語審議会が設けられる
1945 北ベトナム、漢字ではなくローマ字表記をベトナム語の公式表記として制定
1946(昭和21)? GHQの識字率調査
1946(昭和21) 「現代かなづかい」告示、当用漢字表制定
昭和20年代 国語のローマ字教育が推進される
昭和20年代 公文書や新聞等の横書きが左横書きに統一
1948 大韓民国、ハングル専用法を制定。公文書での漢字使用は原則廃止となる
1948 北朝鮮、漢字使用を全廃
1955(昭和30) 「漢字テレタイプ」が開発される
1956 中華人民共和国、「漢字簡化方案」公布(簡体字
1959(昭和34) 戦後国語改革に反対する学者や文化人等が「國語問題協議會」を結成
1970 大韓民国、普通教育での漢字教育廃止。後に新聞や書籍等から漢字が徐々に使はれなくなる
昭和50年代 電算写植が広まる
1977 中華人民共和国、「第二次漢字簡化方案草案」発表。批判が多く後に廃止
1978(昭和53) 東芝かな漢字変換を採用した初の「日本語ワードプロセッサ」を発表
1978(昭和53) 漢字を含む日本語文字コードがJIS規格として定められる
1980年代 ワープロ専用機の普及、コンピュータにも漢字ROMが搭載される様に
1983(昭和58) JISの日本語文字コード改定。一部の表外漢字が同じコードのまま拡張新字体になつた事が混乱の元として批判された
1986(昭和61) 「現代かなづかい」を改訂した「現代仮名遣い」公布
1992(平成4) 全世界の文字を網羅した文字コードユニコード」に「CJK統合漢字」追加。中国語・日本語・朝鮮語で異なる漢字字形のうち、差異が微少なものは同じコードに割り当てられた
2004(平成14) JISの日本語文字コード改定。例示字形の一部が拡張新字体から康煕字典体に変更された事が話題になつた。
2010(平成22) 「常用漢字表」改定。都道府県名の漢字で従来表外だつたものを含め、新たに一九六文字追加。略字化された字と康煕字典体のまま追加された字とが混在する事に。

【仮名遣ひの目的の違ひ】
藤原定家 古代語音の書き分け
契沖 語義の書き分け
橋本新吉、時枝誠記 語に基づく(表意主義)
現代かなづかい 「現代語音に基づく」(歴史的仮名遣は「古代語音に基づく」)