クイズ

1 現代かなづかいが告示されたのはいつか。
イ 江戸時代末期 ロ 明治時代後期 ハ 昭和二十年代

2 夏目漱石の「坊つちやん」についての説明で、正しいものは。
イ 口語の現代文だから、明治時代も今と同じく新字と現代仮名遣いだつた
ロ 原文は口語の現代文で、旧字と歴史的仮名遣で書かれてゐた
ハ 原文は古文を真似た文語文で書かれてゐたが、現在は口語文に翻訳されたものが普及

3 一つの文字と発音とが一対一対応するのは次のうちどれか。
イ 英語 ロ フランス語 ハ 韓国語 ニ 現代仮名遣いの日本語 ホ 発音記号

4 左横書き(左から右に書く横書き)が学校教科書に初めて登場したのは。
イ 明治時代 ロ 大正時代 ハ 昭和時代

5 「絆」の右上、活字体では「ハ」の形が多いですが、手書きで「ソ」の形で書くのは?
イ 誤り ロ 正しい

6 次の旧字に対応する新字はどれか。(余分なものもあるので注意)
學 譽 與 當 團 專 傳 藝
伝 専 芸 団 学 当 富 園 与 誉

7 次の歴史的仮名遣の文章には誤りがあるが、それはどこか。(九ヶ所)
街にお買ゐ物に出掛けた花子さんは、赤ひリボンを買つていました。お金があまり無ひようで、少ししか買ゑず残念そうでしたが、「お小遣いを貯めてまた来やうね」と言つてゐました。

※ヒント 「居る」は仮名では「ゐる」と書きます。「様」と書く「よう」は「やう」と書きますが、「しよう」「来よう」は現代仮名遣いと同じです。現代仮名遣いの「ア・ワ行五段活用動詞」、つまり「ない」を付けた時に「~わない」の形になる動詞は、歴史的仮名遣では「ハ行四段活用動詞」、つまり「~はない・~ひます・~ふ・~ふとき・~へば・~へ・~はう・~つた」と活用します(「言う」「習う」は「言ふ」「習ふ」)。「ここ」「そこ」は現代仮名遣いと同じですが、「こう」「そう」は「かう」「さう」になります。

解答

1 現代かなづかいが告示されたのはいつか。
ハ 昭和二十年代
 明治時代以降、「複雑な漢字を廃止し、ローマ字またはかな文字だけにして、仮名遣も現代の発音をそのまま表す『表音仮名遣』にすれば、日本語がすごく簡単になるのでは」と、国語の大胆な改造を唱へる運動が活発に行はれ、一部で導入される事もあつたものの、実際にはあまり普及しませんでした。
 戦後、戦争抛棄を唱へる新憲法の公布をはじめ様々な改革が次々と行はれましたが、その改革ブームの一つが「国語改革」でした。「将来的には漢字を廃止する」事も念頭に置きながら、当面使つても良い漢字の範囲を制限し、字体も略字体を大幅に採用した「当用漢字表」、表音仮名遣を取り入れながらも、(「私わ」「それお」「どこえ」ではなく「私は」「それを」「どこへ」と書く、「言ふ」を「ゆう」ではなく「いう」と書く、「三日月」を「みかずき」ではなく「みかづき」と書く等)一部に歴史的仮名遣の規則も残した「現代かなづかい」が昭和二十一年に内閣により告示されました。

2 夏目漱石の「坊つちやん」についての説明で、正しいものは。
ロ 原文は口語の現代文で、旧字と歴史的仮名遣で書かれてゐた
 「口語文」で「現代文」だけど「歴史的仮名遣」といふ組合せに違和感を感じる人が最近は多いですが、戦前はそれが当たり前でした。現代の国語の教科書や文庫本に載せられてゐる明治~昭和初期の文学は、漢字と仮名遣が旧字・旧かな(歴史的仮名遣)だつた原文が、新字・新かな(現代仮名遣い)に修正されてゐます。原文のままだと敬遠する人が多くてあまり売れないので、商売としては妥当な判断なのかも知れませんが……。

3 一つの文字と発音とが一対一対応するのは次のうちどれか。
ホ 発音記号
 英語は、単語によつてiをイと読んだりアイと読んだりする等、文字一つ一つと発音とは一対一対応してゐません。語尾の子音字を発音しない事があるフランス語も、bの音で書くがmの音で発音する場合がある等の規則のある韓国語もさうです。日本語は助詞の「は」「へ」「を」や「ぢ」「づ」、「ゆう」を「いう」と書くのは序の口で、漢字こそが「文字と発音が必ずしも一対一対応しない」最大のもので、音読みもあれば訓読みもあり、それが複数通り存在する事もあります。しかし、そんな漢字を私達は毎日使ひこなしてゐますし、漢字無しのひらがなだけの表記はむしろ読みにくいと思ふのではないでせうか。

4 左横書き(左から右に書く横書き)が学校教科書に初めて登場したのは。
イ 明治時代
 実は戦前は左横書き(左から右に書く横書き)が無かつたわけではなく、左横書きと右横書きの両方が使はれてゐました。英語の辞書や教科書など、英文と和訳を並べて書くには左横書きの方が都合良いですし、他にも算術や音楽の教科書、数式や外来語の多い技術書などでは左横書きが見られました。
 左横書きが本格的に普及して右横書きが廃れていつたのは昭和二十年代以降で、昭和二十一年に読売新聞、昭和二十二年に朝日新聞が新聞に左横書きを採用し、昭和二十年代以降、省庁の文書が縦書きから左横書きに徐々に変更されていつたのがきつかけでした。

5 「絆」の右上、活字体では「ハ」の形が多いですが、手書きで「ソ」の形で書くのは?
ロ 正しい
 活字と手書き文字の形は、必ずしも一致しません。「令」の字を、屋根の下に「丶」「マ」と書くのが一般的な手書きの形ですし、「き」「さ」も縦棒と丸つこい部分を続けて書く人は少ないと思ひます。アルファベットのaやgを手書きでは活字体と同じ形で書きませんし、GやQには活字体も手書きもいろいろな形のものがあります。漢字もそれと同じです。

6 次の旧字に対応する新字はどれか。(余分なものもあるので注意)
學 譽 與 當 團 專 傳 藝
学 誉 与 当 団 専 伝 芸
余り:富 園

7 次の歴史的仮名遣の文章には誤りがあるが、それはどこか。(九ヶ所)
(誤)街にお買【ゐ】物に出掛けた花子さんは、赤【ひ】リボンを買つて【い】ました。お金があまり無【ひ】【よ】うで、少ししか買【ゑ】ず残念【そ】うでしたが、「お小遣【い】を貯めてまた来【や】うね」と言つてゐました。
(正)街にお買【ひ】物に出掛けた花子さんは、赤【い】リボンを買つて【ゐ】ました。お金があまり無【い】【や】うで、少ししか買【へ】ず残念【さ】うでしたが、「お小遣【ひ】を貯めてまた来【よ】うね」と言つてゐました。


口語文の歴史的仮名遣にしか出て来ませんが、「無い」や、形容詞の「~い」の部分は現代仮名遣いと同じです。文語文の「無き」や「~き」に相当します。「買ひ物」の「買ひ」はハ行四段活用動詞なのでハ行で活用します。