「質問に質問で返す」方が適切な事ってあるの?

 「質問に対して質問で答えるのは失礼だ」と主張する人がいます。確かに、状況によっては、「人の話を聞いていないように感じる」「けんかを売っているように感じる」事があるかもしれません。
 しかし、この常識、一度疑ってみませんか。実は、「質問返し」(質問に質問で返すこと)を積極的に活用する方が、むしろ適切な状況もあるのです。

1.相手の出している情報が不足している場合

 「パソコンが動かないんです、助けて」だけの質問では、あまりにも情報が不足していて、答えようがありません。
 「機種は何?どう動かないの?どういう操作をした時なの?」と質問で返すのが普通ではないでしょうか。

2.結論だけ知れば満足、ではなく、相手自身に深く考えてもらいたい時

 たとえば「どうしてオタクは秋葉原にリュックサックなんかしょって来るの?」と聞かれた時、「買う荷物が多いからだよ」と答えるのは、確かに正解です。
 しかし、ここでひとひねりしてみましょう。「もし買い物袋に十数袋分のたくさんの荷物を徒歩で買いに行くとしたら、手ぶらで行く?手提げカバンで十分?」と聞いてみるのです。相手に状況を思い描いてもらうことで、「なるほど、手提げカバンにも入りきらないほど荷物が多いのなら、リュックに全部しまう方が楽だな」と自分から正解を引き出して理解してくれるかもしれません。ただ正解を教えるよりも心に深く残ります。
 「クイズ形式で何かの知識を教える」というのは、これの応用形かもしれません。

3.「はい」「いいえ」のどちらで答えても陥れられる罠を相手が張っている時

 まれに、「相手は誠実に質問の答えを求めているのではなく、自分の言葉尻をとらえて罠に陥れようとしている」という事があります。その場合、相手のペースに乗って正直に「はい」「いいえ」で答えるのは危険です。
 たとえば自分が有名な漫画家だったとしましょう。「凶悪犯罪の原因として指摘されている、漫画やアニメを規制することに賛成ですか、反対ですか」とマスメディアからインタビューを受けた時、単純に「賛成です」「反対です」と答えるだけでは、どちらにしてもメディアの都合の良いように曲解されてしまう危険があります。つまり、もしこれが「釣り」であるなら、「賛成」と答えると「漫画家でさえ漫画やアニメを凶悪犯罪の原因となる危険なメディアと認めている」と尾ひれが付き、「反対」と答えても「あの漫画家は凶悪犯罪を容認している」としてやり玉に挙がるわけです。
 場合によってはスルーするのが適切な場合も多いのですが、もし返答が必要な場合であれば、相手のペースを崩す定石が「質問返し」。状況によって返すべき適切な質問は変わりますが、たとえば「具体的にどういう問題があると考えますか」「○○というメディアが凶悪犯罪の原因というのは、どの事件の事を指すのか、具体例を教えてください」「それはあなたが最初に思ったことですか、それとも新聞やテレビで誰かが言ってた事ですか?」「あなた方のグループでも似たような問題があると聞きますが、どう対処しているのですか?」などと切り返すことができるかもしれません。*1

元ネタは漫画「ジョジョの奇妙な冒険」?(2011/05/11追加)

 後で知ったのですが、「質問に質問で答えてはいけない」という言葉は、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」にあるのだそうです。
「質問を質問で返すなあーっ!! 疑問文には疑問文で答えろと 学校で教えているのか?」
「おっと 会話が成り立たないアホがひとり登場〜〜 質問文に対し質問文で答えるとテスト0点なの知ってたか? マヌケ」
というセリフなのだそうですが、その引用文が返って来た時、その漫画の事を知らないととてもビックリします。私もそうでした。
 なるほど、もしその漫画に由来するジョークで言ってるのだとわかったら、過敏に反応する必要はないのですね。私も「ジョークにはジョークで答えて」あげようと思います。「ジョジョ?」と反応してみるだけでも十分かもしれません。
 はてなブックマークで教えてくださったid:bt-shouichiさん、どうもありがとうございました。

*1:まあ、返答できず「そんな細かい事にいちいち突っかかって気持ち悪い」という反応が返って来ることも多いかもしれません。「あなたが答えられないのなら、私も答えません」と言いたいところです。あるいは、「そんな事も知らないのか。それくらい常識だろう」「みんなそう言ってるし、認めようとしないのは頭のおかしい変質者だけだよ」という反応かもしれませんが、いわゆる「太宰メソッド」ですね。「常識じゃない、あなたが常識にしたいだけでしょう」「みんなじゃない、あなたが言ってるだけでしょう」と突っ込みたくなるような。