コミックマーケット75 サークル参加初体験!(中編)

ざわ‥ 大行列

 時刻はちょっと戻って、8:45頃。何かのアナウンスがあったかと思うと、壁側の、あ-51(あいすとちょこ)とか、あ-52(裏FMO)とかのある辺りに、にわかに列が出来始めました。それがものすごい。「ざわ‥」と大きな音がしたかと思うと、一瞬の間に百人、二百人もの人の大群が出来ていたのですから。
#なお、私は遠くから見ていただけなので、どこのサークル目当ての列なのかまでは確認出来ませんでしたし、どんなものを頒布していたのかまでは確認出来ませんでした。もし上に挙げたサークルのどちらかだとしたら、有名美少女ゲームの原画なども描いているプロの作家さんみたい(今調べてわかった)なので、なるほど、行列ができるのも不思議ではないでしょう。
 場所と時間帯からして、当然ながらこの列は、サークル参加者の通行証で入ってきた人たちです。サークルスペースの店番は一人にまかせて、残りの二人はこうやって人気サークルの列に並ぶ、といった具合の、この「役得使いまくり」には賛否両論あるでしょうが、その風景を実際にこの目で見たのは初めてでした。

モテモテな「革命的非モテ同盟

 さて、他のサークルの話となると、「革命的非モテ同盟」の話は決して外せないでしょう。
 長蛇の列こそ出来てないまでも、ここのスペースにはいつも人だかりがあったし、もう、西館に来てた人は猫も杓子も「革非同」の本を買ってたんじゃないかというくらい、それはそれは大盛況でした。
 書記長のフルカツ(古澤克大)さんは非モテ言いながらハンサムで服装もちゃんとしてていい男だし、午後には女優の大塚麻恵まで売り子さんやってるし。「非モテ同盟」なのに、みんなにモテモテじゃん、なんて私も冗談で言ってました。
 そんな冗談はさておき、こんなにも「革非同」の本が好評である背景には、やはり「非モテ」の問題について関心のある人の多い証拠ではないでしょうか。かく言う私も社会問題の一つとして関心のある人の一人であり、次回の同人誌のテーマはやっぱりこれにしてもいいかな、などと考えてみたりもしました(当初は、今回発行の同人誌にも「非モテ」問題を皮肉る一コマ漫画を幾つか掲載予定でしたが、次回のネタに回すことにしたのでした)。
 帰ってからじっくり「KAMPANIA」を読んでみましたが、硬派な話題もあれば軟派な話題もありと、何だか別冊宝島みたいな雰囲気。ルサンチマンゆえに「女叩き」をする一部の非モテとは一線を画し、女性の非モテ問題についても関心を持って語る意見など、特に古澤克大さんと雨宮処凛さんとの対談を読むだけでも興味深いものです。

研究しよう お客さんの行動

 さて、またまた時計の針を戻して、時刻は10:00。開会の拍手とともに、同人誌即売会はスタートしました。
 少しずつお客さんは会場に入ってきましたが、私たちのサークルはおろか、周囲の他のサークルにも、なかなか人がやってきません。「終了の16:00までこの状態が続くのか……!?」と不安になりつつも、待つこと約30分。ようやく、少しずつ周囲のサークルには人がやって来るようになりました。
 開場から45分か50分くらい経って、ようやく私たちのサークルにも足を止めるお客さんが出てき始めました。そしてしばらくすると、「これください」との声。初めての売上です。これを皮切りに、ペースはゆっくりでしたが、少しずつお客さんが増えていきました。正午頃には、売上メモの正の字が、両方合わせて二つちょっと。上々な滑り出しです。


 さて、ここでクイズです。前編で、今回の私の同人誌は、色違いの表紙を4色用意したと書きましたが、どれが一番人気だったでしょうか?

  1. ピンク
  2. 水色

 正解は、意外なことに「緑」でした。「ナントカ戦隊ナントカレンジャー」でも「ナントカグリーン」は影が薄いのがお約束だし、私はてっきり「ピンク」が一番人気で「緑」が一番売れ行きが悪いとばかり思い込んでいたので、ピンクと黄色を余計に刷って、水色と緑を少なめにしていたのですが、結果はまったく逆で、緑→水色→黄→ピンクの順に売れていきました。これは予想もしなかった意外な結果でした。


 第二問。代金を100円玉で出す人・500円玉で出す人・お札で出す人の比率はおおよそどれくらいだったでしょうか。
 これはきっちり記録を取ってないので感覚的な数字だということをあらかじめお断りしておきますが、100円玉と500円玉のお客さんがほぼ半々、厳密には若干100円玉の方が多い、程度です。お札で出す人が2,3割はいて当たり前だろうと思って、お釣り用の千円札を20枚ばかり持っていきましたが、五千円札で払ったお客さんが一人いたくらいで、結局ほとんど消費せずに終わってしまいました。千円札で払うお客さんも、せいぜい3,4人程度。一方、500円玉で払ってお釣りを求める人は頻繁にいましたが、他方で100円玉で払う人も多かったためか、補充用に用意しておいた100円玉×50枚×2本が開封されることは、とうとうありませんでした。今回の価格設定で今回くらいのペースなら、硬貨のお釣りは100円玉×20枚、500円玉×4,5枚くらい、それに加えて五千円札や一万円札のお客さんが二、三人程度来る事を想定、くらいを最初に用意しておけば十分かもしれません。


 第三問。私たちのサークルスペースで同人誌を買ってくださったお客さんの男女比は、おおよそどれくらいだったでしょうか。
 ほぼ大半が男性で、女性が全体の5%未満、70人くらいのお客さんのうち、2,3人くらいでした。今回中心となった客層は20〜30歳代の男性でした。そもそも見本誌をチェックしてくださったお客さんからして、男性の方が圧倒的に多かったものです。
 はてなハイクの「どうして女の子のイラストばかり描くの?」キーワードの推定男女比に比べ、圧倒的に男性比率が高かったのは想定外。


 当初は、店番を二人に任せて一時間くらい外出してもいいかな、とか、東館はともかく企業ブースには足を運んでみよう、とか考えていましたが、いざ開場してみると、どんなお客さんが私たちのサークルスペースにいらっしゃるんだろう、お客さんはサークルスペースのどこらへんに注目するんだろう、などというリサーチの方が面白くなってしまいました。
 今回わかった事として、視線と同じ高さにあるPOPは、大勢の人が注目してくださいます。振り返ってまでも見てくださるほどです。テーブルの下につり下げたPOPよりも、テーブルの上とPOPスタンドの方が断然注目度が高いものでした。ただし、あまりにも通路に近い位置にあると読みづらいので、テーブルの奥の方にスタンドを立てた方が良いようです。
 それに、同人誌の種類が少ない場合は、同じ本を二山、三山に分けて、横に並べて陳列すると注目度がUPします。一つのサークルスペースに二人とか三人横に並んでいる時、自分のいる場所に近い山の本を手に取って確認することが簡単にできるのが良いようです。
 さらに、評論誌だからこそなのかもしれませんが、いわゆる「ジャケ買い」はまずほとんど無くて(そういうお客さんはだいたい私のサイトやブログの常連さんです)、大半のお客さんが、見本誌のほぼ全ページをめくって内容確認して、その上で購入してくださいました。私としては、見本誌を手に取ったお客さんの二割か三割くらいが購入してくださればまあ上等、程度に考えていましたが、意外や意外、見本誌をチェックしてくださったお客さんの七割から八割くらいは購入につながりました。本当にありがたい限りです。
 私は、同人誌即売会でこれまで「評論・情報」ジャンルを回ってみた時の経験から、「このカテゴリは、表紙だけでは判断できず、中を読んでこそ面白いもの」「立ち読みで斜め読みしてみた時でも、著者の言わんとしている事がすぐわかって、“これは興味深い!”と思えるキーワードがすぐ目に入ると、買いたくなるのでは」と考えていたのですが、まさにその通りである事が今回の観察から裏付けられたように思います。


 15:30頃になるとだんだん売れ行きも鈍っていき、16:00に拍手とともに終了。幸い私の方は予定の50部を突破し、献本予定分として多めに刷ってきた余分も配布分に回して、チェックした正の字からすると52冊になりました。(でも後で検品・お金のチェックをしてみると、どちらにしても、売れたのは61冊だったっぽいのです。私がうっかりして正の字を付け忘れていた可能性が高いですが、今となってはどちらの数字が正しいのかはわかりません。)
 エレンさんの同人誌にしても、アニメマニアだらけのコミケでアイドルマニア視点の「萌え」論がどれほど売れるか不安でしたが、18冊出ました。実際にはアイドルマニアのお客さんも結構いるのかもしれません。