大阪ひとり旅(下)

かなりお待たせしました。約半年ぶりに
大阪ひとり旅(上)
大阪ひとり旅(中)
の続きです。

※前回の主なスポット
通天閣(googleマップ)
道頓堀(googleマップ)

道頓堀〜道具屋筋日本橋

 名残惜しいですが、楽しかった道頓堀見物はそろそろおしまいにして、日本橋電気街へ。
 千日前通を渡り、お笑いの殿堂「なんばグランド花月」(行きたかったけど残念ながら今回は時間の都合でパス)を過ぎると、細い路地が続いています。ここが「道具屋筋」。食器や庖丁や厨房用品などを売っている店がたくさん並んでいる通りです。
 おみやげに何か買っていこうかと思いましたが、残念ながらかさばるものばかり。茶碗は割れたら泣いちゃうし、たこ焼き器はかついで帰るわけにはいかないし、庖丁持って日本橋をうろうろして警察に怪しまれても嫌だし。残念ながら何も買わないまま、とうとう日本橋電気街の裏通りに到着。
 アニメショップや漫画同人誌ショップ、メイド喫茶等が多いので通称「オタロード」と呼ばれている界隈の、まさに最北端。まず目に入ったのが、「にゃんこカフェ ねCOちゃ」の看板。最近人気の「猫喫茶」です。
 入る前は、洋風な店内を、来店者はテーブルで優雅にお茶を飲みながら、気ままにそこかしこを動き回る猫を眺めてリラックス……という様子を想像していましたが、全く違いました。和風で、カーペットを敷いた部屋の真ん中にこたつ(電気は入っていない)がある以外は、家具も少なめ。ただ、猫の隠れ家になる段ボールとか、猫の遊ぶおもちゃは色々ありました。
 飲み物は冷蔵庫内の飲み物を自由に飲めるフリードリンク制……ですが、来店者は猫の様子を眺めたり、猫をナデナデしたりばかりで、あんまり飲み物は飲んでない様子(ま、ちょっとくらいは飲んでましたが)。結果的にそうなったのかもしれませんが「猫好きな個人経営の民宿におじゃましました」的な雰囲気を醸し出しています。
 来店者は、猫をさわる前にはアルコールで手を消毒する事になっています。人間自身の衛生というより逆に、猫の方が人間の持ってきた菌にかもされては困るからだそうです。
 店内は、十数匹の猫たちが思い思いに、そこらを歩き回ったり、寝ころんだり、柱に登ったり、とにかく猫好きなら見ているだけでも飽きません。時々、ある猫が隣の猫の毛繕いをしている微笑ましい光景が繰り広げられると思ったら、またある時には他の二匹が息を荒げて喧嘩をはじめたりなんてハプニングも。
 そんなこんなで、一時間はあっという間に過ぎてしまいます。猫たちとお別れすると、今度は一階にも入ってみることに。この店は二階にありますが、一階は、大阪でも比較的有名なメイド喫茶CCOちゃ(こっちゃ)です。
 まあ、お決まりのように店員さんの制服はメイドさんだし、メニューも飲み物やデザートがいろいろ……って、あれ!? この店は、メニューがすごくユニークなのでした。アニメの名前や登場人物にちなんだ名前のメニューがいっぱい。しかも、注文の品がテーブルに運ばれてくると、店員さんが、そのメニューにちなんだ決め台詞を叫んでくれます。こんなサービスは秋葉原では一度も体験した事がなかったので面食らってしまいましたが、そのアニメが大好きな人にはたまらないサービスかもしれません。

電気街を辛口評価

 さて本題の電気街へ足を運んでみましょう。メインストリートは、何とアーケード付き。雨の日や日射しの強い夏は助かりそうです。さあ、東の秋葉原に負けないナニワの底力を見せてくれよと、店をいろいろ回ってみましたが、あれ?あれ?連休だというのに、何だかアキバに比べて活気があまり感じられません。
 いろいろある理由の一つは、「カオス分が足りない」のかもしれません。アキバのガード下のゴミゴミしたパーツ屋や、あのゴチャゴチャ圧縮陳列してるあきばおーや、ジャンクパーツショップみたいな、そんな雰囲気の店がすごく少なくて、アキバに比べると生真面目で整然としたというか、何だかすっきりとした雰囲気の街のように感じられます。お隣の道頓堀や新世界と、あまりにもギャップが激し過ぎます*1
 それに、「秋葉原じゃなくて日本橋でないと手に入らない!」と言えるような商品も少なくて、大阪らしい個性があまり感じられませんでした。せいぜい、大工仕事に使う電動工具の店が多かったり、アンティークショップや着物の古着の店が少しあったり、というところが日本橋ならではの風景かもしれません。阪神タイガースUSBメモリとかがあったら百個ぐらいおみやげに買って帰ったところだろうけど*2、残念ながらそういう大阪らしい電気街のおみやげも、私の探し方が悪かったのか、見付からずじまいでした。
 加えて、日本橋は大型家電店が次々撤退した跡もあちらこちらにあり、しかし残念ながらその跡地にもっと強力な集客力を持った電気店やホビーショップが入るかと思うと、必ずしもそうでもないらしく、思っていたよりは何だか寂しげな街に見えました。秋葉原と比べて電気街の規模がかなり小さく感じたのも、一つはこれがあるかもしれません。
 一方、メインストリートから外れた裏通りの、いわゆる「オタロード」周辺は、アキバほどとはいかないまでも、そこそこ活気があるのが感じられました。アニメショップやゲームショップやメイド喫茶などが多い界隈です。こんな様子を見ると、まだまだ日本橋も捨てたものじゃありません。
 そもそも、秋葉原と比較する事自体が間違っているのかもしれません。考えを変えてみれば、コテコテの道頓堀と新世界に挟まれた、のんびりまったりの日本橋、良いじゃありませんか。大阪=コテコテ・にぎやかでなければならない、という事こそ、関東人によくありがちな思い込みなのかもしれません。

通天閣に再挑戦

 前日は時間が遅過ぎたので開いていなかった通天閣。今日こそは上ってみることにします。

 何と、日本橋電気街から普通に歩いて行かれる距離のところにありました。道頓堀〜日本橋〜新世界を東京で喩えるなら、御徒町秋葉原御茶ノ水くらいには近い距離かもしれません。昨日はジャンジャン横町の側から入っていきましたが、今日はこの写真にある通り、通天閣本通商店街の側から入っていきます。

 さて、今日こそは開いていました。2階に上って入場料を払うと、エレベータ待ちの列がフロア一周分。これは30分以上は優に待たされそうです。
 連休ということもあって、家族で来ている人ばかり。私の隣で並んでいた小学生くらいのぼっちゃんが母親に「ねえ、ここ、なに区?」としきりに尋ねてました。
 答えがわからず困っているママさんに助け船をと、「浪速区だよ」と代わりに教えてあげました。話を聞いてみると、この親子は大阪に住んでいるとのこと。
 改めて思ったのですが、やっぱり子供の質問ってマニアック。大人が知っていそうで答えられない事を、どんどん質問してくるものです。


 さて、エレベータに乗る番が回ってきました。円筒形のエレベータというのがなかなか珍しい。

 高い場所からの眺めは、さすがに違います。すぐ近くの天王寺動物園は(私はまだ中に入ったことはありませんが、入ったことのある人にとっては)上からの眺めは地上からと違って非常に興味深いでしょう。

 日本橋電気街は、地面のほうがあまり見えませんでしたが、ビルのてっぺんくらいならこのように見えました。上新電機の看板が多めなのが大阪らしさです。

 大阪湾側に見える観覧車は天保山大観覧車でしょうか。今回の旅は陸だらけでしたが、海側を探検してみるのもまた面白そうです。

大阪土産は、たこ焼きせんべいばっかり!?

 新世界の串カツ屋で夕飯を済ませたので、あとはおみやげを買って帰るだけ。でも帰りの電車にはまだまだ時間があります。なんば駅まで歩いていきながら、あちこちの店に寄ることに。
 すっかり日も落ちた日本橋電気街を通ると、一軒の店が見えました。メイドさんがカラオケで歌ってくれるお店なのだとか。
 店に入ると、お客さんは十人くらい。奥にはカラオケステージがありました。お客さんたちのアニメソングのリクエストに応えて、店員さんたちが代わる代わるマイクを持って歌います。正面にカラオケセットがあるのに!!自分が歌えない!!のはすごく残念です!!が、それをぐっとこらえて、私も一緒に楽しく聴いてました。
 突然、キューティーハニーのテーマソングがかかり、店員さんが歌い始めました。サビに来ると、その店員さんは、なぜか飲み物の入ったグラスを運びながら、私のところに近付いてきました。「ハニー・フラッシュ!」という掛け声と共に、私のテーブルにその飲み物が運ばれます。何が何だかわかりません。
 あっけに取られている私に、店員さんが説明してくれました。ちょうどさっき私が註文したカクテル、「ハニー・フラッシュ」を頼んだ人へのサービスなのだとか。ただ単にアニメにちなんだ名前の飲み物というだけではなくて、こういうユニークな演出もあるのが、やっぱり大阪らしいところです。
 ところで、私はメイドさんにどんなアニメソングをリクエストしたかって? 「三十路岬」。演歌ですがアニメソングです……というか、変わったリクエストしちゃってごめんなさい。でも、なかなか上手でした。毎回流れる主題歌ではなくて一種のキャラソンなのに、ちゃんと知っていたのにはただただ驚くばかり。


 さて、おみやげ探しです。道頓堀の土産物屋をあちこち回ってみますが、どこもかしこも「たこ焼きせんべい」ばかり。私もおみやげで何度かもらって食べた事はありますが、本場のたこ焼きの味を知ってしまと、「たこ焼きのせんべいなんて、所詮ニセモノだろ……」という考えに囚われてしまったのでした。たこ焼きせんべいの会社とたこ焼きせんべい好きさん、ごめんなさい。私も決して嫌いではないし、おいしいです。でも、ここだけに限っては定番を外して、ちょっと変わったものを探してみたくなった、という事をご理解ください。
 しかし、そう良さげなものはなかなか見付かりません。それでも何とか色々揃えることができました。
 加えて、私自身が是非とも一度食べてみたかったのが、「きつねどん兵衛」の関西版。早速ドンキで大量買いしちゃいました。醤油が濃くて鰹だしの効いた関東版とは違い、醤油が薄めで鰹+昆布だし。家に帰ってから食べ比べてみましたが、全くの別物です。さすがに両方並べて食べてみると、長年食べ慣れてきた関東版こそ懐かしの味であり、関西版の薄口な味付けは何だか物足りなさを感じるもの。ですから、関東版に慣れた関東人の場合、一緒に作って食べ比べするのは、あまりおすすめできません。関東版と比べずに単独で食べると、関西版のおいしさがわかってきます。残念ながら、どん兵衛の関西版は関東では通販でしか手に入りませんが、どん兵衛にこだわらなければ、最近は関西だしのカップうどんが関東でも入手しやすくなりました。たとえば、イオンのショップパリュブランドのカップうどんは関西だしですし、コンビニでも時々関西だしのカップうどんを見かけるようになりました。
 それに加えて、大阪に来たからには、これは絶対忘れてはなりません。「551蓬莱」の豚まん。横浜みやげに崎陽軒のシウマイ、というのと同じくらい、大阪みやげとしては定番中の定番商品です*3新大阪駅に着くと、これも早速大量買いです。
 新大阪駅の土産物屋を見てみると、大阪に来たはずなのに、ちょっぴり反則技なおみやげを見付けちゃいました。京都生八つ橋。私も大好きだし、大阪と京都はお隣だし、電車でも通過駅だし、まあ良いとしましょう。あんこの入ってるのも良いけど、あんこなしの皮だけのもまた美味しいものです。


 さて、あとは東京行きの電車に乗って帰るだけです。……って、何で「新幹線」ではなくてただの「電車」と呼んでいるのでしょう。それには理由があります。気になる方は、次回の番外編をお楽しみに。今回で終わりではありません、まだまだ続きます!

*1:逆に言うなら、アキバ、特に近年のアキバは道頓堀化しつつあると言えるかもしれません。アキバに「くいだおれ人形」があっても周囲の風景にすごく馴染んでしまいそうなくらいに。

*2:多過ぎや!

*3:しかも、どちらも生もので、早めに食べなくちゃいけないところまで似ています。