大阪ひとり旅(中)

大阪ひとり旅(上)の続きです。

これぞ大阪、道頓堀

 お次は地下鉄に乗って道頓堀へ移動。なんば駅で下りてしばらく歩くと、見えてきました。あの有名なグリコの大看板。

 ここは道頓堀川にかかる戎(えびす)橋の上。有名な写真撮影スポットのようで、観光客らしき大勢の人が、この看板の前で、携帯やデジカメを手に写真をパシャパテャ撮ってました。この日は私もその一人。
 橋の横の階段から、道頓堀川へ下りていくと、川の両岸に「とんぼりリバーウォーク」といって、木で出来た歩道がありました。あんなに人でいっぱい埋め尽くされていた戎橋と違って、人が少なめでいい感じ。川を眺めながらのんびり散歩するには打って付けの場所です。
 なお、戎橋と御堂筋の道頓堀橋の間、つまり道頓堀川のグリコ看板に面した辺りは、現在工事中でした。これからどうなるんでしょうか。

 戎橋を渡ると、向こう岸には「かに道楽」本店が。関東にもあちこちに支店があるので、関東人でもあの動くカニの大看板はご存じの方が多いでしょう。でも、大阪の本店のは初めて。

 その向かいには、ありました、ありました。有名な「くいだおれ」。チンドン屋の恰好で太鼓や鐘を叩いているこの人形は、「くいだおれ太郎」という名前だそうです。
 やっぱりここも有名な写真撮影スポット。すぐに人だかりが出来ては、太郎の前で次々と記念写真を撮っていく人ばかりです。

 ドン・キホーテ道頓堀店は、壁面に観覧車が付いてるのがユニークです。

 でも、こういうコテコテな感じの店ばかりが道頓堀じゃない。大阪松竹座の古い洋風建築は、レトロ好きにはたまりません。

大阪のカプセルホテルはCool!

 そろそろ夜も遅いので、宿探し。実は、一日の終わりに難波に行くことにしたのは、理由がありました。難波なら泊まるところを探すのに苦労しないからです。特に、カプセルホテルが結構集中しています。まあ、カプセルホテルで安く済ませられる気軽さが、一人旅の良いところ。
 こんな時、GPS携帯は非常に重宝します。何と、現在地から1kmもしないところにあちこちありました。最短は0.2km。早速チェックインしました。例によって受付係は、なまりのあまりない、普通の標準語・標準アクセントで、本当に大阪に来たのかわかりません。
 でも、実際にホテルに入ってみると、関東の一般的なカプセルホテルとは違う、太っ腹なサービスがいっぱい。
 まず、ロッカーに着いてすぐ気付いたのが、普通ならロッカーに入っているはずの、例のオレンジ色のバスタオルと小さいタオルが入っていません。後で浴場に行って気付いたのですが、脱衣所に自由に使えるタオルが山積みになっているのでした。しかも、垢擦りまで山積みに。関東だと「タオルは一人一枚まで、それ以上は別途料金を請求します」って感じのカプセルホテルが多いので、この違いはCool!
 そればかりではありません。他の客を観察してみると、どうやら、みんな同じようなカーキ色のサルマタをはいています。脱衣所に山積みになっていたものです。私は何のためにこれをはかなくてはいけないのかわからなかったので、はいていなかったのですが、「ここでは、これがしきたりらしい」という事が段々わかってきました。寝間着だけじゃなくて、なぜかサルマタまで無料で貸してくれる大阪のカプセルホテルはCool!
 浴室も、よくありがちなシャワーと浴室とサウナだけではなくて、スーパー銭湯のように趣向を凝らしたいろんな種類の浴槽があったり、風呂から出た後はリクライニングシートに寝ころびながら、めいめいのシートに付いている液晶テレビを見ながらまったりできるのもCool!
 テレビ番組も、壁のところに番組表が貼ってあります。深夜時間帯が省略されていたので、深夜アニメ事情があまりわからないのが残念だったけど、東京のVHFで放送されている番組なら大概放送されているようでした。さて、いろんなローカルCMが見られるぞ!と期待していたら、ほとんどが首都圏と同じようなCMばかりで、らいよんチャンという毎日放送のキャラクターを除くとほとんど見られなかったのが残念。そういえば、深夜になぜか「劇場版 鋼の錬金術師」をやっていて、休憩室のデジタル大画面テレビでは、アニメおたくでない一般人らしき人も見ていたりしました。ハイビジョンアニメは、やっぱりきれいでCool!

道頓堀 二日目

 大阪には、歌謡曲でおなじみの場所がたくさんあります。たとえば、私は今回地下鉄御堂筋線に乗る前から「御堂筋」という言葉は知っていましたが、それはザ・ベンチャーズが作曲し欧陽菲菲が歌った「雨の御堂筋」という歌を聴いたことがあったからです。
 通天閣の下には、村田英雄の「王将」という歌のモデルになった、大正時代の将棋名人である坂田三吉を偲んで建てられた「王将碑」があります(ちなみに、「餃子の王将」も通天閣の真下にありますが、これはあんまり関係ないかもしれません)。
 「♪包丁一本 さらしに巻いて……」という藤島桓夫の歌で有名な法善寺横丁は、例のくいだおれ太郎から目と鼻の先にある、と聞いて驚く方も多いかもしれません。私も驚きました。派手でコテコテな雰囲気の場所と、わび・さびを感じる静かな場所とが隣り合っているというのが何ともユニークです。

 法善寺横丁を歩きながらふと考えました。それは、道頓堀と東京の浅草との似ているところ・違うところ。似ているところは、お寺があって、アーケード街があって、庶民的な食べ物がいっぱいで、演芸もさかん。今の私たちには写真でしかわからないのですが、戦前の浅草六区辺りはもしかしたら、大阪で喩えるなら道頓堀並みに派手派手コテコテな街だったのかもしれません。違うところとしては、何と言ってもあの派手な看板は道頓堀にしかありません。法善寺のこじんまりとした構えと違って浅草寺は大きくてにぎやか。反面、浅草は平均年齢が高めなのに対し、道頓堀は若者にも大人気。でも、こうやって考えてみると楽しいものです。


 「道頓堀極樂商店街」が開くまで、たこ焼き屋でたこ焼きを買って食べながらあちこちお店を回ることに。ある店では、「ちゃぷちゃぷ」といって、ダシ入りのつゆに浸かったたこ焼きを売っていました。もちろん、昆布の利いた関西ダシ。これがなかなかうまい。
 11時になったので、ようやく「道頓堀極樂商店街」へ。入口のエレベータの順番待ちをしている間、案内嬢が館内の案内や注意事項を説明していたのですが、何だか大阪に来て初めて、大阪弁らしい大阪弁を聞いた気がします。
 館内は、昔の道頓堀をイメージした「レトロテーマパーク」。なかなか雰囲気が出ていたけれど、食事したりおみやげを買ったりするにも、精算がハイカラなICカード、というのだけは、唯一、何だか雰囲気に合ってなかったのが残念。
 館内の「道頓堀モダン博物館」は、入館料の割には展示物が少ないのがちょっと残念。でも、昭和初期のモボ・モガのコスプレをして写真を撮りたい人にはおすすめです。
 お笑いショーみたいなのもやってたので、のぞいてみる事に。お笑い芸人のタマゴみたいな人が4グループくらい出演してました。
 よく関東人のイメージするような、あのおなじみの「コテコテの大阪弁」でのボケと突っ込み。「わあ、これや、これや!」と思いましたが、ああいう話し方は、大阪といえども、ああいう場所でないとなかなかお目にかかることができませんでした。
 とは言え、肝腎の芸は、はっきり言ってイマイチ。もうすこしがんばりましょう。


 ところで、お昼は……初めての大阪なら、あそこに行くっきゃありません。「くいだおれ」です。
 一階が洋食、上の階が居酒屋や和食等になっています。今回は、一階の洋食レストランに行きました。
 くいだおれセット\1,980也。ステーキもハンバーグもエビフライも入ってるセットです。ただ、ステーキはペラペラの薄さで、味もあんまり高級感は感じません。良くも悪くも、昭和の昔の庶民的レストランみたいな味です。高級グルメな味を期待すると失望しますのでご注意。でも、レトロなB級グルメとして味わうなら、まあまあ良いところです。
 ボリュームは半端なくあるので、ちょっと苦しいながらも、どうにか完食しました。


 さて、今度は道具屋筋を通って、「大阪のアキバ」とも呼ばれる日本橋(にっぽんばし)へ向かいます。
(近日公開予定の「大阪ひとり旅(下)」に続きます)