「独身税」に関する皆さんの意見にお返事します

ブクマコメントに答えて

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/osito/20061125/p1
 先日のエントリ『結婚資金を断つ「独身税」』ですが、ブックマークおよびコメントで様々なご意見を頂戴しました。この場を借りて感謝いたします。

trashcan 非道さをオブラートに包んでしまわないようあえて名前は「独身税」のままにしておいたほうがいいかも。

 なるほど、そうですね。考えてみると、懲罰的な「独身税」と、育児家庭を支援するための税金(私が名称だけ挙げた「育児保険税」案もそう)とは根本的に性質が違うので、その違いをはっきりさせて、混同を避けた方がいいかもしれませんね。

hashigotan 社会, 独身, 非モテ, 考! 宗教問題は?ですが、 部落差別・非モテの外見問題・障害者・など広くカバーしながらよく纏められている良い記事だと思いました。 独身税鬱病患者の関係をどうするかって問題もありそうだな

 私の知り合い等にも鬱病にかかってる人がいますが、気分の波の谷底にいる時は結婚のことを考えてるどころじゃないみたいですね。結婚しなくちゃ、とか、結婚資金をためる為に一生懸命働かなくっちゃ、なんて気を張って忙しくしていたことが原因で、結婚を目前にして鬱になってしまった人も知っています。そんな人にまで法外な独身税を掛けようなんて言う人がいたら、鬼です。程々な根性ならいいけど、過度な根性で気を張り過ぎると、いつかガタが来ます。
 宗教問題ですが、「懲罰的な制裁金」としての法外な金額の独身税が認められてしまうと、独身のお坊さんや尼さんのたくさんいる寺院にとっては死活問題だと思います。それも皮肉なことに、大金をお布施として受け取っていて高級車を乗り回しているようなお坊さんとか、濡れ手に粟でボロ儲けしているカルト宗教の教祖や幹部あたりは、独身税なんて痛くもかゆくもないでしょうが、清貧をモットーとしてつつましくやっているお寺や教会ほど多大なダメージを被ってしまいます。しかもそういう真面目なところほど、信者にもっとたくさんの寄付を要求する事は気が引けると感じるでしょうから、なおさらつらい立場に置かれてしまいます。

mizukik 非モテ 非モテ難民か。今のうちからどこへ逃げるか決めておいた方が良いかも

 すぐ思い付く場所としては、東南アジアや中南米発展途上国あたりでしょうか。ただし、治安や衛生等、問題も山積みなので万人にはおすすめできませんし、日本の非モテ迫害から解放されても、着いた先では新たな問題に対処しなくてはなりませんから、安易な気持ちで逃げる事は私はあまりおすすめしません。
 でも予備知識として、海外に行ったことのある人がいるなら体験談を聞いてみたり、実際に海外に旅行する機会があるなら行ってみるのも良いでしょう。
 もっとも、仮に日本で「独身税」が本当にできた頃には、海外の事情もまた変わっていることでしょう。今すぐ結論を出そうと焦る必要は特にないと思います。

shidho 社会, 非モテ 例えば、これが30代の間だけ課せられる税金だったりしたらどうなるだろう。金額は(40代から徴収される)介護保険に準ずるくらいの金額で、としたら。/さらに、これを未婚既婚問わず課してのち既婚者から控除したら

 介護保険に準ずるくらいの金額となると、年額数万円、月にならすと数千円程度ですから、「懲罰的な制裁金」の意味が無くなります。これくらいの負担だったら払ってでも独身のままでいたいという人は多いと思います。私も含めて。

suVene 法律 『「独身税」が形式結婚・偽装結婚を増やしてヤクザを潤す』までいくとちょっと妄想入ってるが、確かに違憲っぽい匂いがする独身税

 少々妄想が混じってるのは本人も自覚済みです。でも、そもそも出生率上昇の切り札に「独身税」、という発想そのものが電波ゆんゆんな妄想だと思うのは私だけではないはず。そして、その電波にマジに反論してる私も少々あぶない人間かも!?
 それはともかく、仮に本当に「独身税」が導入されたら、「姓の同じ人を見つけて偽装結婚できるサービス」が登場すれば、法的にも姓が変わることがなくて便利なので、特に女性に歓迎されると思います。ビジネス特許を取って押さえておいてヤクザを牽制しようかと一瞬思いましたが、特許ごときでヤクザが牽制できるわけはないし、そもそも公序良俗に反する特許は取れませんね。

kumojuza 社会 独身に罰金的課税をするのは的外れで残酷なだけ。結婚に対するインセンティブを増したり、子供の養育費を『社会全体で』もっと負担するのはアリだと思う。

 私も同意します。
 戦争には、勇敢な兵士も必要ですが、「銃後の守り」も必要です。それと同じで、子供を産み育てるという“戦いの最前線”に立つ人も必要かもしれませんが、それらの人々を助ける“後方支援”だって必要です。その点、「独身とか子供がいない人も、それぞれの立場を活かした社会貢献がもっと出来るんじゃないの?」と提案するのは大いにアリだと思います。
 それから、「子供のいる既婚者」と「独身者や子供のいない人」が分裂するよりは、一致協力した方が良いではありませんか。そんな雰囲気が出来れば、もっと安心して子供を産み育てられるだろうし、こういう暖かい環境に影響されて、今は独身でも「子供のいる既婚者」の立場に是非とも移りたいと感じる人も増えるかもしれません。

sea_side エントリー, 社会, 結婚, 独身, 少子化 独身税はだめか・・・じゃあ子無しの年金カットだ。

 「子供を産んだ夫婦のみ年金を受け取れるようにすべき」と主張する人は多いですが、この件は書くと長くなるので、いずれ別カテゴリに改めて書こうと思っています。以前このブログのコメント欄で少し書いたこともありますが。
 少なくとも、不妊症などの夫婦にこの措置を講じるのは鬼だと思います。

kennak 日本, 考察 重k(検閲削除)

 重婚を認めれば出生率が上がる、と書こうとしたのでしょうか? 臆測に過ぎませんが。
 でも、この方法は、よっぽどの金持ちにしか通用しません。奥さんを二人も三人も持つなんて、よっぽどの金持ちでないとできない事です。それも、どの奥さんにも子供がいるとなると余計にです。

lovefatelove 結婚, 少子化 独身税導入の主張なんてリアルじゃほとんど聞かないけど・・・
kusamisusa 非モテ, 結婚, 政治 独身税ってマジで検討されてるの?/とりあえず同性婚は認めていただかないと

 「独身税」なんて、どこかの飲み屋のオヤジの戯言とか、2ちゃんねるの名無しさんの書いたネタにしか過ぎないとか思っている人もいるかもしれませんが、実際には、柴山昌彦衆議院議員自民党の子育て小委員会で「暴論ではあるが独身税をやってはどうか」と提唱し、賛否両論が沸き起こっている問題なのです。
独身税 - R25.jp
 当の本人は「暴論ではあるが」と前置きしているので、飽くまでもネタなのかもしれないけれども、それにしては無責任な意見にも程があるし、そんな人が日本の政治に関わっているなんて、何て恐ろしい。それに、この発言に影響されてマジになってる人もだんだん出て来始めている雰囲気もあります。
 確かに、インターネットで政治関連ニュースを読むのが好きな人を除けば、知らない人も多いかもしれませんが……
 それに、同性愛者を含め、異性に興味がない人の問題も確かにありますね。そういう人に無理に結婚しろと言っても、下手すると本人の望まない不幸な結婚に終わってしまう危険性もあるので、慎重にする必要があると思います。「とにかく相手をあてがって、二人をくっつけてしまえば、あとは何とかなる」なんてメロドラマみたいな妄想をふくらませてる人は、現実に帰りなさい。

お気付きでしたか?

 前回のエントリは、あえて一つの「工夫」をしてみました。


 そもそも私は、「少子化対策」そのものに疑問を抱いています。「少子化対策=子供を増やす事が唯一の解決策、というのはおかしい」「少子化は100%悪ではなくて、益もある」「少子化という現実を受け入れた上で、軟着陸を目指せ」というのが私の口癖です。
 そもそも、「少子化対策=子供を増やす事が唯一の解決策」であるかのような印象を植え付けると誰が得するかを忘れてはなりません。それは、雇用対策をまともに行わず、正規雇用の門を狭めたのは自分たちのくせに、「若者がやる気がないからフリーターやニートになる、若者がやる気がないから結婚しない」と、責任を若者の自己責任に転嫁しようとしている、ずる賢い誰かさんたちですよ。頭の固いオジサンならともかく、被害者である若い独身者自身がそんな釣りに引っかかってどうします。騙されてはいけません、いい加減、目を覚ましなさい。


 しかし、前回のエントリは、論議を複雑化させないために、そういう事は一つも書きませんでした。そして、少子化対策は日本社会の危機を救う上で絶対に必要で、しかも唯一の解決策は、子供を増やす事以外にはあり得ない」と仮定した時に、果たして「独身税」は結婚や出産を増やすのに効果があるかを考察してみたのです。それにもかかわらず、出るわ出るわ、次から次へと問題点が……。


 また、最後に追記した事は、できれば気付いて欲しかった事。もし法外な金額の「独身税」を徴収するとなると、かなりの金額になりますから、「独身税利権」を虎視眈々と狙う人が登場するのは時間の問題でしょう。今でさえ「少子化対策利権」を以下略。