二次元恋愛ニートのすすめ

 「現実の恋愛では金持ちとイケメンが得をし、キモメンは搾取されるだけだ」からと、「二次元恋愛」、つまりアニメやゲームなどの美少女キャラクターへの仮想恋愛を薦める考えがある。
 “「愛」も「萌え」も定義は広い。”というこのブログの題名から、もしかしたら誤解されているかもしれないが、この機会に私の立場をはっきりさせておく。私自身はこの考えに懐疑的であるし、二次元恋愛を薦めるつもりも全くない。
 これでは結局、現実社会での恋愛至上主義からは逃れられても、今度はアニメやゲームの世界での恋愛至上主義に囚われてしまっているのではないか、という疑問が残るからだ。
 いわゆる「萌えアニメ」とか「美少女ゲーム」と呼ばれるものは、確かにいわゆる“恋愛弱者”を差別しない。スクリーンの中のヒロインたちは、いとも簡単に無条件の愛を自分に注いでくれるかのように思えるかもしれない。
 しかし私は言いたい。確かに現実世界ではイケメンになることが目標とみなされるかもしれない。しかし、美少女ゲームやそれを基にした萌えアニメの世界でも同じく、大抵はスクリーンの中の世界で女にモテて、出来ることなら沢山の女をはべらせる事が目標とみなされている。現実世界か架空世界かの違いだけで、プレイボーイ(死語)を善とするような価値観は全く変わらないではないか。


 もちろん私は、恋愛至上主義と名の付く物をすべて悪いと言うつもりはない。それに、いわゆる萌え系コンテンツとか、その愛好家を非難したいわけではない。もしそれが法律的あるいは道徳的に問題あるものでなければ、そういうヒロインに憧れるささやかな夢を邪魔するのも野暮というものだ。私自身も、健全で良質で面白い漫画/アニメ作品に限って、ごく一部ながら時々楽しむ事もある。
 しかし私は、自分のことを二次元恋愛ニート*1、つまりアニメやゲームなどの架空のヒロインと恋愛関係を築くことを最初からあきらめている人間ではないかと思う。
 私個人は、あくまでも個人的な趣味だが、スクリーンの中の世界を楽しむ時くらい、プレイボーイを善とする価値観からは、できることなら離れていたい、そんな人間なのかもしれない。
 私がなぜ少女漫画そのものは好きでもヒロインへの恋などおおよそ考えた事がないのか、私がなぜ美少女ゲームがあまり好きではないのか、映画やドラマそのものは決して嫌いではないのに、いわゆるトレンディドラマが概してあまり好きでないのか、私自身もあまりよくわかっていなかったのだが、今日この内容を書いてみて、ようやく少し見えてきたような気がする。

*1:異性と恋愛関係を築くことをあきらめている若者を指す「恋愛ニート」をもじった造語。