少子化が地球を守る

〜子供を増やすだけの少子化対策ネズミ講と同じである〜

 昨今は「少子化」「少子化」と、子供の数が少なくなった事があたかも悪い事でもあるかのように言われている。そして、何とかして少子化に歯止めを掛けないと日本は滅ぶ、などと大真面目に主張している人も多い。

 しかしあえて言おう、少子化の何が悪い、と。少子化こそ、限りある地球資源を守る効果的な方法の一つである。「少子化対策」に子供を増やそうだなんて、先進国のゼイタク極まりない発想だ。少子化のデメリットばかりセンセーショナルに取り上げて大衆を煽り、メリットには目をふさぐというのは、不公平としか言いようがない。

 日本が子供の数が増えないことを嘆いているお隣で、中国は子供の数を減らそうと躍起になっている。もちろん、中国のこれは人工的な政策であり、私の賛同しかねる内容も一部にある。しかし少なくとも、中国にとっては日本と逆に、子供が減る事よりも子供が増える事の方が脅威とみなされている事は事実である。

 理由は皆さんもご存知だろう。子供が増えれば人口も増える。人口が増えれば食料も、住む場所も、石油など他の資源も、余計に必要になる。人口が増え過ぎて地球がパンクしないうちに、何らかの対策を立てなければならない。

 日本の国土は狭い。食糧もエネルギー資源もかなりの部分を外国に依存している上に、世界でトップクラスの方に入る高度な文明生活を送っているから、それらを余計に必要としている。今でさえ外国の資源を食い尽くす生活なのに、今後もそれを続けるつもりだろうか。資源の節約にはいろいろな方法があるが、人口を減らす事もその一つである。過去には戦争や疫病の蔓延や食糧不足によって人口が減ることがあったが、今の日本は戦争もなければ、大量死する程の病気もなく、食糧も有り余っている。しかしだからと言って日本の人口がねずみ算式に無限に増えるという事は無く、少子化によって放っておけば自然に人口が減っていく。日本の人口が一人減ることによって、発展途上国の五人とか十人分が生き残るだけの食糧資源が残るなら、日本には痛みを伴う事ではあっても、地球の未来の為に協力できないだろうか(こんな誤解をする人は普通いないと思うが念のため。もちろんこれは、日本人が子供を産む事が悪いという意味ではない。それは少子化ではなく絶滅というものだ。私が言いたいのは、子供を産まない選択をした人に無理に圧力を掛けることは無い、という事に過ぎない)。

 もちろん、人口が減る事の益はすぐにもたらされる事ではなく、短期的には大きな痛みを伴う事柄である。老後を支える人口が減る、労働力が減るなど、日本の目先の利益にはならない選択である。しかし、「老人を支える人口が減って困るなら、子供を増やせばよい」などというのは、ネズミ講と同じ発想、サルでも思い付く安易な発想である。それだけのためにどんどん人口を増やしていったら、きりがない。仮に自分の子供の世代の人口が増えたところで、今度はその子供の世代を支える人口は、もっと余計に必要になる。そしてまたその子供を支える人口も……。そうすると今度は「人口爆弾」という別の問題が頭上に突き付けられることになり、そして地球の人口はいつかパンクする。

 このように、悪者のようにみなされている少子化も、長期的に見るなら、むしろプラスの選択ではないだろうか。私自身はこう考えている。少子化は絶対悪ではなく、地球環境の平衡を保とうとする自然の摂理ではないかと思うし、それに無駄に逆らってはならない。無理に日本の人口を増やそうとするよりも、少子化を受け入れつつも、その短期的な痛みをどうカバーできるかという事の方が、真の少子化対策ではないかと思う。


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