「女王の教室」に対する批判意見の背後にある現実逃避

 日本テレビで「女王の教室」というドラマに、どことなく気味悪さを感じている人も多いようだ。その証拠に、公式サイトの掲示板の半分は、番組に対する批判や放映中止を求める意見が占めている。

 でも「子供の教育に悪い」ですって? 「残酷で不快」ですって? だから放映中止しろって? いい加減目覚めなさいそうやって、学校で日常よく起こっている「仲間外れ」や「いじめ」や「教員の児童・生徒に対する虐待」等という問題を、あたかも無かった事のようにしてスッキリしようとする、これを何と呼ぶのか教えて差し上げましょう、「現実逃避」と言うのよ!

 確かに「女王の教室」はかなり誇張して描かれているが、ここで扱われている問題は、我々の身近に非常にありふれた社会問題ばかりである。「このような仲間外れやいじめを子供が真似するかもしれず悪影響だ」と主張する人もいるが、子供たちはこんな番組が登場するずっと前から、とっくに一枚か二枚上手のいじめを実践しているのだ。

 一方で「つくる会」の歴史教科書に反対し、“南京大虐殺従軍慰安婦”に関する身の毛もよだつ経験談を喜んで子供達に話し、その一方で、このように自分たちが加害者かもしれない社会問題を扱った「女王の教室」は見たくないと言う。もしそのような態度であるなら、これを矛盾と呼ばず何と言おう。

 反戦映画は、赤紙が来て戦地に赴く男達の苦悩と、空襲と飢えに苦しむ女子供の苦悩を描き、戦争の悲惨さを子供達にしっかり教えてきた。「女王の教室」も、いじめの加害者と被害者双方の視点を描き、友達同士仲良くする事がいかに難しい試練となり得るか、そしてその試練を乗り越えていく事の大切さを子供達にしっかり教える良い寓話となり得るだろう。子供は、批判派の大人達が考えているほどそんな単純じゃあ無い。