スパム投稿のアキレス腱

 昨今はblogブームであるが、コメント欄にスパム投稿する「コメントスパム」が問題になっている。また、掲示板へのスパム投稿はかなり以前から問題になっている。まっとうな商売のサイトがスパム投稿するはずもなく、大抵は怪し気なマルチ商法や詐欺サイトやアダルトサイトであり、最近はワンクリック詐欺サイトへの誘導も多く見かける。消しても消してもなおしつこく書き込まれる業者についに降参して、放置状態になっている掲示板も珍しくない。

 さて、このように厄介者のスパム投稿であるが、アキレス腱もあるのをご存知だろうか。それは、「メールアドレス・URL・電話番号のいずれかを書かないと、宣伝の意味を成さない」ということである。それを除いた本文だけでは、宣伝として不完全なことが多いのだ。

 たとえばマルチ商法にしても「○○社の××というサプリメントはダイエットに効く」という内容だけで連絡先が無ければ、同じ会社の商品を扱っている別のグループに客を取られてしまうかもしれない。社名を隠して「独立開業・SOHO支援・億万長者も夢ではない」と宣伝したところで、会社名も連絡先も無ければ、もはや宣伝として意味を成さなくなる。

 最近は詐欺的なサイトへ誘導するスパム投稿も増えてきたが、これもメールアドレス・URL・電話番号のいずれかの手段でカモを例えば悪質出会い系サイトなどへうまく誘導するようになっている。この連絡手段を奪えば、業者も宣伝しづらくなる。例は微妙に異なるが、最近、auの「Cメール」では、メールアドレス・URL・電話番号を含んだメールを既定では送れないように制限された。この効果はテキメンであり、ここのところ私の携帯にもその種の迷惑メールが一切来なくなった。

 掲示板やblogプログラムの新規設計を考えているなら、このCメールの事例が参考になるのではないだろうか。つまり、メールアドレスやURLの自由な書き込みを制限するだけでも、スパム投稿対策にかなり効果が期待できるように思える。もちろん、掲示板の議題に応じて正しい目的でURLを書き込むことや、連絡先を公開したい人がメールアドレスを書き込むことは自由であってもよいだろう。それを両立させる方法はいろいろある。会員登録された人だけメールアドレスやURLを自由に書き込める方式にするとか、投稿自体は自由だけれど未検閲のうちは伏字にしておき、管理者や管理者の任命した検閲官がOKを出せば伏字が解除されてメールアドレスやURLが載る、という方式でもよいだろう。とりあえずお手軽に既存のプログラムの改造で対応できる方法としては、メールアドレスやURLのブラックリストによる制限だろうし、その発展形として、ブラックリストを共有する方式も考えられる。以上に挙げたうちの複数を組み合わせた方式でもよい。

 いずれにしても、今は、掲示板やblogプログラムは管理者削除のしやすさも使い勝手につながる時代である。同じ“バオバブの根っこ抜き”を定期的にしなければならないのなら、もっと簡単にできる方が便利に決まっている。