電車脱線事故の原因探しにメディアが行きついた先

〜“ゲーム脳”に科学的根拠はありません〜

運転士、異常行動“ゲーム脳”の特徴 (ZAKZAK)

 大谷昭宏の「フィギュア萌え族(仮)」の次は、森昭雄の「ゲーム脳」か。またまた不謹慎なトンデモ説がマスコミに登場した。まだ原因が判明していないうちから、こういう怪しげな仮説を持ち出して決め付けようとする態度は、いかがなものだろう。

 世の中には「ゲーム脳」なるものを、科学者の認めた事実であると信じ切っている人が多いが、はっきり言ってデタラメである。控え目に言っても、単なる仮説に過ぎず、科学者すべてが認めている定説とは言い難い。森氏は「ゲームをやる人の脳波はアルファ波が増えてベータ波が減るが、痴呆症の脳と同じ状態である」と主張し、これを「ゲーム脳」と呼んでいる。

 しかし、ちょっと待てよ、もしそれが本当なら、アルファ波を売り物にした癒し系グッズは“ゲーム脳誘発グッズ”ということだ。「オルゴール音楽のCD」とか「森林浴」グッズとか「安眠枕」、あれは危険ということになる。宣伝文句で「アルファ波が出ているのはリラックスして健康に良い状態」と言っていたはずである!?

 これで結論が明らかになる。つまり、「ゲームをやっている人の脳波はリラックスしている状態を示す」とすればいいところを、同じ脳波の状態でも、わざわざ悪いイメージの「痴呆症」の方を選び、「ゲーム=悪」という自説に強引に結びつけているのが、「ゲーム脳」説の正体というものである。こういうミスリードに騙されてはならない。