最近元気がないぞ

(1)月刊アスキー

 毎月18日というと、いろんなパソコン雑誌の発売日。書店のパソコンコーナーに行くと、まずは平台に月刊アスキーがあるかどうか確認するのが、私の十五年近く続く習慣だった。

 ところが最近様子がおかしいことに気付き始めた。平台を幾ら確認しても、月刊アスキーが置かれてない、そんな事が多くなってきた。見つからないか、見つかっても平台ではなく上の棚に一、二冊だけといった具合である。

 噂によると、最近部数が減ってきているようであるが、私にとってこの雑誌は、十年以上前の学生時代から読み続けてきた、思い入れ深き雑誌である。月刊アスキーが平台から姿を消している様子を毎月見るのは、これまで見慣れていた風景がいっぺんに変わってしまったかのようで、何やら寂しいものである。

(2)としまや弁当

 赤い屋根に緑色のカバのマーク。以前にも書いたが、1980年代初頭のホカ弁ブームの時に弁当屋としてあちこちに出来、後にコンビニ兼弁当屋というスタイルに変わっていった、千葉県に多いチェーン店である。

 弁当を買うとなると、「セブンイレブン」か「としまや」か。私も含め、南房総人は、かつては大体こんな感じであった。私の地元では、ローソンやサンクスなど他のコンビニチェーンもチョットだけあることはあったが、セブンイレブンの方が断然多かった。しかし、としまやもセブンイレブンと同じくらいたくさんあったし、よく弁当を買ったものである。店によっては24時間営業のところもあったのを覚えている。

 味の違いを食堂やレストランに喩えるなら、さしずめ、「セブンイレブン」がファミレス、「としまや」が定食屋といったところだろう。アキバ通なら牛丼に喩えるとすぐわかるだろう。イレブンが吉野家、としまやがサンボである。何はともあれ、製法や味がしっかり規格化されて管理されていますという雰囲気の工場大量生産型のイレブン弁当に対し、レジの奥の厨房でコツコツ作っているとしまや弁当は、パートのおばちゃんたちの手作りオーラがバリバリ出ている。作業服を着たおっちゃんたちの集う定食屋の味をそのまま弁当にしたみたいな感じであるが、としまやもやっぱり同じように作業服のおっちゃんたちのたむろする、そんな雰囲気の弁当屋である。いかにも機械でにぎりましたというイレブンおにぎりと違い、としまやは、おばちゃんの手の形に握ってあります、と言わんばかりの(ウソです。型に入れて握ってます)家庭的な味。弁当にしても、普通におかずがたくさんある弁当もあるけれど、メシの上に味付チャーシューの乗っかっている、ただそれだけの「チャーシュー弁当」みたいな、漢だったらこれをかっこんで喰え、女子供はすっこんでろと言わんばかりのワイルドさが私は大変気に入っていた。味噌汁もまた手作りで、弁当を買った人は業務用炊飯器で保温されているその味噌汁を、セルフサービスでお玉からカップに入れてもらうことができた。

 しかしここ数年のうちに、地元にもセブンイレブンだけでなく、ミニストップやらローソンやら、コンビニが本当にたくさん増えた。選択肢が増えたのはいいけれど、その陰で、としまやが最近どんどん閉店している。残った店舗も24時間営業を止めて8時だか9時だかに店じまいである。店にも以前のような活気があまりなくなってきた。雑誌コーナーも普通の書店なみとはいかなくとも、かつては比較的充実していて、月刊アスキーみたいなパソコン雑誌もよく買っていたほどであるが、今では品揃えがめっきり減ってしまった。昔からとしまや弁当に親しんできた私にとって、これもやはり、寂しい光景である。